憎き憎き、俺たちの宝を奪った人間の王族と魔王達
どれかを殺して彼女の心を救えるなら、彼女を縛る現実を解放してやれるなら
俺たちは死んだって良い。本気でそう思っていた
「っ、父さん!!なんで殺さないんだよ!!」
『彼等の死を、あれは望んで無い』
「じゃあこのまま俺たちがやられるわけ!?」
『それもあれは望まぬから、出来ぬな』
俺たちの決死の攻撃を、人間達の盾になりながら軽々と打ち消す魔王が憎い
しかも、殺さないし殺されない?
どんだけ俺たちを馬鹿にすれば気がすむんだ!!
怒りが魔力となり、部屋中を魔法使いのサンダーブレイクが覆えば魔族が結界で防ぎ
俺とアーチャーの攻撃は魔王の片手で振り払われる
と、そんなとき
カアアアアアアアンっ!!!!!
俺たちが少し距離をとった瞬間、間の床がクレーター状に凹むほどの力を乗せた槍が突き刺さった
「その争い、一時私が預からせてもらう」
凛とした声にそちらを向けば
また彼女に良く似た魔族が
王女と戦士の首に短剣をつきつけて、無表情に立っていた
『混戦、恨み、憎しみ』
帰