「夕霧、これ出来たの!!」
ふわりと、中に浮く水の塊
それのよこにはぴょんぴょんはしゃぎながら喜ぶ可愛い妻
「あとね、もう足がつかないとこでも溺れないんだよ!!」
とてとてと駆け寄り、爛々と輝いたその瞳は露骨に『褒めて褒めて』と言っている
隠れてたくさん練習をしたんだろう
りりは泳ぐのが下手だったから
ふっと笑い
その頭をよしよしと撫でてやるとそれだけでふにゃりととろけるような甘い表情を浮かべる
褒めているのは私なのにそれだけでも私に対する褒美のようだ
「頑張ったねぇ」
「うんっ、うん!!」
りりがそのままむぎゅりと抱きついてくると集中が切れたのか水球はあっという間に地に落ちてしまったが
今はもう私たちのどちらもそんなことは気にならない
「夕霧、もっとなでなでー」
「ほんにお前は甘ったれだね」
「だって夕霧に撫で撫でされるの大好き」
ただ喜びを分かち合うだけ
初めてりりを拾ったあの日は
こんな醜女、何に使えばいいものかと途方にくれたが
世の中どうなるかわからないものだね
『幸せは二人で一緒に』
帰