「ん?お片付けしてくれるの?でかたまは偉いねー」

くしゃくしゃと、満面の笑みで背伸びして頭を撫でられて胸がくすぐったくなる
たかが食い終わった食器を片しただけなのに
髪をかき混ぜる小さな手の感触が心地よかった





ソファに座りぼーっとテレビを見てるとどすどすと独特の足音を立てながらデブ猫が俺の足の上に乗っかった
邪魔だし重いからどかそうとすると手を引っ掛かれた

そんなこんなしてると両サイドをまた虎猫と三毛猫に挟まれて身動きが取れなくなる

どうしようと困ってると洗い物を終えた女がくすくす笑いながらソファの横に立った
その足元には、白い毛長の綺麗な猫

「ずいぶんなつかれたねぇ。君を拾ったのも黒たまなんだよ?」

「は?」

「外に出たまま帰ってこないから、心配して探しに出たら黒たまが倒れてる君に寄り添って必死に鳴いてたの。目が『こいつ助けて!』って言ってるみたいだったから気合い入れて拾って帰って来たんだよ?」

いやー重かった
一人がけのソファに座りながら筋肉痛なのか腕をさする女
じっとでぶねこを見つめるとふいっと目をそらされてたすたすと尻尾で二度叩かれた

「さんきゅな……でぶねこ」

ぶっ
女がけらけら笑い出すとキシャー!と怒ったでぶにがぶりと腕を噛まれて穴が空いた。すっっっげぇ、いてぇ

「でかたま君はレディに向かって失礼だねー?黒たま」

うなぁぁん


こいつ女なのか……
呆然と見下ろすと三毛猫がグイグイと頭を押し付けてくる
その頭を撫でてやるとゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らし、虎猫も同じことをするので喉の下を撫でてやった

なぁーぉー

「手が足りねぇよ。一匹あっちいけよ」

でぶにも遊べと要求されるがもう手一杯だ
するとその様子を見ていた女がクスクス笑いながら近くの棚から青いチャームの着いた細い鎖の首輪?アクセ?を取り出した
よくみると猫たち全部が色ちがいでつけてる
―――――女も白いチャームのソレを首につけてた



「はい。あげる」

ちゃり、とソレを渡される

「なんだよこれ」

「家族の証だよ。たま達のお願いならば仕方がないから人間でも、でかたま君も飼ってあげるよ。私は珠姫(たまき)よろしくね?」


暖かい、凄く柔らかい笑顔を惜しげもなくまきちらす珠姫
にゃごにゃごうるさい三匹に、珠姫の膝の上で大人しく丸くなる白い猫

たまき
白たま
黒たま
かに玉
ニラ玉


寒い寒いクリスマスのその日
俺は、デブ猫サンタに暖かい暖かい家族をもらった







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