そういえば
たつやさまとりこさまは
いつも一緒にいる
二人は文句を言いながらも凄く仲良しで、仲良しで──────
もしかして、二人は付き合ってるのかな
凄くカッコイイたつやさまと凄くかわいーりこさまはとてもお似合いで、胸がじゅくじゅくと痛んで息をするのも辛くなった
「どうした?ちっちぇの。今日は元気ねぇな」
「………うん」
優しく頭を撫でられて
りこさまのことも撫でてるのを見たことがあるなと思ったらもっともっと胸が痛んだ
たつやさまに夢中な私は気付かなかったんだ
りこさまが、くとうさまにも頬擦りをしていたことに
「それで利虎殿はどうしたんですか?ここまで泥酔するなんて珍しいですね」
「あー……お前は知らねぇ方が良いと思うが…」
「來兎様……愛おしい…………」
「馬鹿虎一気にレベル飛んだな。さっきは好き程度だったのに」
ぴきーんっと固まる主様
りこさまはうっとりと縁側からまんまるのお月様を見上げていて
くとうさまは主様の背中をぽんぽん叩いていた
「どうしたの?」
「利虎に好きな奴が出来ちまったんだよ」
その一言に
はっとして振り向いて上を見上げると、ん?と優しく微笑まれた
それはひげもじゃの時から変わらない私の好きな微笑みだった
「たつやさまは、それでいいの?」
「俺としては巳都の片想いが成就してやって欲しかったんだがな。まぁあんなにでっれでれの利虎を見たら仕方ないさ」
よくは分からないけど
たつやさまはりこさまが、他の人を好きでも良いらしい
付き合ってないみたいだ
だったら、だったらさ───────
「たつやさま」
「ん?どした」
「みの、たつやさまが好き。だから大人になったらおよめさんにして?」
彼の着物を持って見上げて言うと、たつやさまは大きく笑って「大人になっても俺が好きならな」と言った
その日から私は大人になるべく猛努力をして、
龍哉のお嫁さんになれたんだ。「まさか子供の時の世迷い言を大人になるまで引きずるとは思わなかったがな」
「蛇の一族はすっごくしつこいんだよ?龍哉大好きー」
「あぁ………巳都も引退した今でも利虎が好きみたいだからな」
諦めないのは蛇の特徴だ
お兄ちゃんの恋は叶わなかったけれど
私は執念で龍哉を捕まえた
私が死んじゃうまで、逃してあげないんだからね?
『小さな初恋は死ぬまで続いた』