私は、帰ってきた
生まれ育った日本に。この町に

単純な私はみち君に言われて、すぐにお母さんに謝って帰ってきた








なのに──────彼との距離は相変わらずだった。

















手も繋いでくれないし
放課後や土日は部活や予定があると言われて、帰国してから一ヶ月がすぎたのにまだ一緒に過ごしたことも無い

かろうじてお昼は一緒に食べてくれるものの、みちくんはお弁当を食べたらすぐに寝てしまう






あの言葉は、嘘だったの?
逃げられたのが悔しいから連れ戻しただけ?
自分から別れを切り出したかったから、連れ戻したの?




我ながら情けないことに、後ろ向きすぎる考えにぐるぐると頭の中を埋められる



新しい学校では、相談出来るほどの友達はまだいない
おばあちゃんにはこんな話は相談出来なかった












だから─────………









「うわー、超小動物ちっく。あたし杏理すっげぇタイプだ」

「ど、どうも」


成り行きで数日やっかいになったみち君のお姉さんに相談してみた
するとお姉さんは女の子を一人つれてきた


初めてお姉さんに逢ったときは驚いたなぁ
お姉さんの彼氏さんに、頼むから追い出さないでくれって出会い頭に頼まれて

それでも、なんだかんだ言って仲がいいお姉さんと彼氏さんを見ていて凄く羨ましかった

私も二人みたいな関係に、みち君となりたかった


「浅黄っち、杏理ちゃんをいじめないよーに。ごめんね杏理ちゃん、私明日からバイトに籠らなきゃいけないからさ…浅黄っちとまとめちゃって」

「いえ、御予定があったのに逢ってくれただけでも嬉しいです」


浅黄さん、は
言葉遣いは乱暴だけど全身で私に好意を見せてくれた
だから私も戸惑ったけれど、彼女とも仲良くなりたいなって素直に思えた


「それでメールに書いてた相談したいことって?」

「あ……でも初対面の浅黄さんにまでこんな話をするのはちょっと、申し訳ないです」

「ん?大丈夫、大丈夫。あたしもバカな彼氏について那智留に相談してぇから。ついでに杏理にも聞くから、教えろよ。なんならあたしが先に言うか?」


こくりと頷くと











その後凄まじい量の彼氏さんの愚痴が吐き出された












それでも、恭夜さんについて語る浅黄さんは凄く凄く嬉しそうだった


私は、そんなに語れるほど彼のことを知らないから
ちょっとだけ泣きそうになった



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