『おー?あはははなんだ、お前かわいーなぁ』

しとしとと、雪が降り注ぐ夜

始めて貴方に声をかけられた
話しかけられてもただ笑うだけしか出来ないけれど

嬉しそうに貴方は笑った



『あー、すっげぇかわいー。う、きもちわり…』


そのまま向こうの道路脇にうずくまる貴方が心配で心配で堪らない
けれど服を汚しながらもすっきりした様子の貴方は再びこちらを見て笑顔で手を振った


『心配かけてわりぃな!さんきゅっ』








『おー!お前まだあるんだ』

日が昇って次の日の朝も貴方は話しかけてくれた
私に話しかけてくれるのなんか、貴方くらいだから凄く嬉しい
私を作ったこどもたちも、私の存在を視界に入れるくらいだから

それだけで私の存在が認められた気がする

『頑張って生き残れよ!』




その夜も、次の日の朝も

貴方は毎日毎日頑張れ!頑張れ!と話しかけてくれたから

私はがんばって、がんばって、姿を保った
降り注ぐ太陽の光は容赦無く私の身体を溶かすけど

私はまだ、彼にかわいーと、頑張れと言われたかった







「あれ、にーちゃん雪兎は?」

「あー、溶けちゃったかなぁ。ちぇ、せっかくがんばって作った改心の作だったのに」

「クリスマスまで持たなかったねー、残念」


















「パパ?それなぁに」

「ふっふっふ、見ろ!かわいーだろ!」

「わぁ、うさぎさんだぁ!」



急にふわりと明るくなる視界
そこは今までと違って空気が熱くて溶けてしまうほどだったけれど

視界に広がる、得意気な嬉しそうな貴方と

小さな小さな少女

二人の嬉しそうな笑顔のせいか
または暖かい空気のせいか
理由は分からないけれど、ほっこりと身体が暖かくなった







短い命の私だけど
貴方達に少しでも幸せを感じて貰えたなら、凄く嬉しい

私はもう充分ほどにプレゼントを貰ったから


どうかサンタ様
願わくば彼らに幸おおからんことを















人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -