バスの窓ガラスが結露して
そこに人差し指で落書きをする、みどりの傘のあの子
雨の日はいつも同じバスで
だいたい2mの距離をもどかしく感じながら、俺はいつも彼女を見つめる
彼女の降りる停留所は俺の三つ前
通う高校は私立の女子校
傘はみどりで、携帯は赤
髪型はちょっと前にパーマをかけたみたいだ
高校に入ってから一年ちょい
俺は毎回雨の日はストーカーのようにじっと彼女を見つめていた
きっかけを、
なにかきっかけが欲しい。彼女と知り合えるきっかけを────………
そんな俺の願いは、突如叶った
その日の彼女は、眠そうに何度もあくびをしていて
バスの揺れにつられてかいつの間にか眠っていた
あと一つで彼女が降りる停留所
そこについても彼女が寝てたら、声をかけることが出来る
あと一つ
頼むから寝ていてくれ……
…………………
本当に彼女のためを思うなら、着いた時点で声をかけるべきだった
ごめんね、悪い男で
心の中で謝りながら、俺は念願の彼女に話しかけるべく席を立った
バスの中には、静かな走行音と雨音だけが響いていた
『てるてる坊主はお断り』
帰