「“俺より、仕事を取るって言うのか……?”」



つい、天井のシミを見つめながらそう呟くと
隣でレポートを仕上げていたりょーやんが固まった


うーん、絵と伊吹か
迷う間も無く絵をとってしまいさすがに伊吹に心でごめんと謝る


「……あいつがんなことを言ったのか?」

「ん?あぁいやいや、いぶっきーはその辺りはわかってるのかそんなことは言わないよ。さっきのはいぶっきーをモデルにしたゆえちゃんのキャラクター」

「あぁ、伯母さんの漫画か」


昨日ペン入れを始めた、伊吹が男キャラクターのモデルになった






うざいくらいの束縛男の話








でもモデルの伊吹はうざいけどそこまで束縛は酷くなかった
ゲーム優先しても泣きそうな顔でひっついてくるだけだし
仕事で数日音信不通になっても明けてからちょっと優先してあげれば何も言わないし


都合の良い彼氏だった








────都合が良すぎた彼氏だった。


私だって一応女だし付き合うことを腹に決めてからそりゃ、多少の恋愛絡みの問題や束縛は覚悟した



ましてや相手は中2バリにラブオーラを出してるいぶっきーだし





けれど、ときどきはにかんだ笑顔に殺意を覚え
くだらない願いを一蹴するものの



伊吹は過剰な我儘や独占はしなかった。
私に対しては、だが(回りには威嚇してるらしい)
あんなに独占しまくりそうな性格なのに……




「なーち。ほいどーぞ、グレープフルーツジュース」

「……」


急に視界に入った缶につられて上を見上げるとそこには今帰ってきて、嬉しそうに笑ういぶっきーがいて







…………我慢させてるのかなぁ、なんて
…………………思っちゃったんだ





「な、なちっ!?」
「……今だけ御褒美」



彼の手をとり指を全て絡めてぎゅっとにぎる



そうして引き寄せて、コツンと額を合わせた








「いつもありがとうね」










『恋人関係円満の秘訣』





それは気遣いと相手を思いやる気持ち



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -