「いい加減にして下さい御師匠」

「無理だのぉ。このピッチピチの若い生足をわしの前で晒しとるなんて揉みしだいてくれって言っとるようなもんじゃろ」


場も弁えず膝丈のスカートをめくり、ふとももを生で触る変態エロ親父をガツっとブーツで蹴り飛ばす

それでも白髪とふっさふさ髭のクソジジイは皺だらけの手で更に揉みしだいてきた

「客人がドン引きしてます。真面目に働けエロ親父」

「は、ははは……まじない師様は御弟子殿が大切なのですな「うむ、性的な意味での」」



「………………」



今日の客人の笑みが固まった
だがしかし、師匠と取引をするならばこれくらいのセクハラに慣れて貰わねば。

















なんだかんだで、夕暮れ前に仕事は終わった。
客人の願いは、身籠っている奥さんの安産祈願。そんなものならば30分もあれば方がつく簡単な仕事だ

『良い子が産まれると良いの。わしも子供が欲しいんじゃが、もう結婚してしまわない『50歳ほど若返ってからほざいてください』』
とか御師匠は寝言をのたまっていたが、そこは気にしない

私も新たに産まれる命とその家族に幸せになってほしいから祈ったのに─────



「あんなじいさんで満足出来る?無理ならうちで雇ってあげるからおいでよ」



外まで見送った時に言われた言葉と下卑た笑顔に心底吐き気を覚える
心の底から二度と来るな、顔も見たくないエロ中年と思った







「おかえり。ずいぶんと不機嫌そうじゃのぉ」

「ここ最近で一番最低な客人でしたからね。触らないでくださいエロ親父」

リビングに戻るなり師匠に引っ付かれてぺいっと剥がす
けれど懲りずに師匠は再度抱きついて来た






「あれの安産祈願なんて俺にパイプラインを作る口実だろ。全く、せーっかく女避けにジジイになってんのに今度は情に訴える奴かよ……ほらよ、50若返ったらくっついて良いんだろ?」

仮にも尊敬する師匠
その本当の姿は、私とそう変わらない青年だった











─────稀代のまじない師。
呪い、祈願、先詠み、過去見
その強すぎ力のせいで師匠に群がる欲望の亡者はまるでゴキブリのように絶えず溢れ帰っていたと言う
特に、肉体的欲求から彼を陥落させようと送り込まれる美女の数は半端なかったらしい







だから彼は姿を変えた。そして客を選ぶようになった




私は、彼が老人の姿を愛用するようになってから拾われたから
初めは彼の求愛を寂しいの老人の戯言だと思った。けれど寂しがりで優しい彼に惹かれ……
年老いた師匠を愛してから、本性を知った。そしてとりあえず殴って頭から熱湯をぶっかけた

けれど土下座して詫びる彼のことが、やっぱり愛しくて…………




私は今でも此処にいる。愛する人の腕の中に








『いらっしゃいませお客様。貴女はどのような願いが御望みですか?』







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