俺の部屋の前に、卵があった
それをじーっと見つめながら先日やらされた『卵から産まれた月の王子役』を思い出す
辺りを見回し誰も見てないのを確認してから……サッとそれを抱えて部屋の中に入った。
これは、あれだろ
た、たぶんあいつがいるんだろ
小さなあいつはどんなだろう。普段は綺麗って形容詞が似合う奴だけど可愛いんだろうか
想像するだけで胸が熱くなる
とりあえず、産まれたら絶対にもう二度と手放さない。
そうかたく誓い同じベッドで潰さないように気を使いながら寝た
次の日もその次の日も抱き締めて優しく撫でて、
ついに三日目……卵が孵化した…!!
パリパリとひびが入る卵を密かに期待に胸を踊らせながら見つめる
そして──────
「やーっと出られたぜ。サンキューなセルディ暖めてくれて」
1
「へ?おい何処に連れてくんだよ」
2
「ちょっ、ちょちょ、なんで窓開けっ……」
3!!!!!!
「ぎゃああああああ!!!!兄不幸ものぉぉぉぉ」
ソレを全力で庭に投げ捨てたが、微塵も苛立ちは解消されなかった。
本当にあの人は馬鹿すぎる。空気を読んでくれ全く
だがしかし、悲劇はこれだけじゃ無かった
「は…?カイ、か?お前何してんだよ」
「あぁニー!!良いとこに来た、なぁ俺を育ててくれよ。セルディに捨てられちまってさぁ……」
「別に構わないけ「兄上こんなとこにいたのですか!!」」
「あ、殿下。こんにちわ」
「早く私の部屋に戻りますよ!!ニー殿に御迷惑をかけたらダメでしょう!!!!」
半ばヤケクソと成り行きで
小さな兄貴の育成生活と言う名の悲劇は始まった…………
帰