それは学校帰りの通学路、道の真ん中に落ちていた

ど、ピンクの卵
胡散臭いとしか思えない卵



…………………




私はそれを道の端に退けて家路に着いた。










終わり。
























「……フラれたなチェシャ」

くすくす笑いながら、こつんと私より若干大きな卵に額を寄せる

『……うっさい。意地悪言うなら意地悪するよ』

中から響いてくる不満そうな声的に、スルーれたのがそうとう不服らしい
我儘で嘘つきな奴だからな


「うわっ」

不意に
卵の殻が透き通り中に引きずり込まれるような形で入り、どぴんくな猫耳男─────チェシャ猫に抱き締められた


「なに?嘲笑いはしても甘やかしたりなんてしないけど?」

「傷心の俺を慰めてよ。帽子屋は俺の飼い主だろう?」

「野良猫になりなさいよ」





服の中をはい回る手
熱っぽい猫の吐息に溜め息と込み上げる熱い何かが溢れる

アリスに、アリスに、逢いたいけど
私はチェシャ猫とこうして居続けることにすっかり慣れてしまっていた




『卵の中、二人』


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