ガーーンッと衝撃が走った
先日お友達になった巳乃さんのお家に巳の君に連れて行ってもらうと………









巳乃さんはいなかったけれど、色とりどりのうどん……もとい子蛇たちがいた。
可愛い、可愛いが少しだけ恐い。本能が毒蛇を怖がってるのか、あまりのうねうねっぷりが恐いのかはわからない


けれど




じいいいいいいいい



無数のくりくりの瞳が見上げてくる様子はとても可愛いと思う。
この一匹一匹が巳乃さんのような愛らしい蛇だと思うとたまらない。まとめてうじゃうじゃなのは恐いけど


ソッと手を差し出そうとすると、確かに子供達は嬉しそうに目を輝かせた――――が、その手は神経質な巳の主によって止められた



「ダメですよ、まだ善し悪しも分からない子等の群れに手を出すなんてたくさん咬まれて死んでしまいますよ!!」

「いやでも子供達が呼んでますし」

「貴女が餌になったりしたら、私の胃に穴が空く程度じゃ無いのでやめてください!!」

「穴なら空き慣れてるでしょうから一個くらい多く空いても構わないんじゃ無いんですか?」

「そういう問題じゃ無いでしょう!!」


がっちりと、少々低い体温の巳の君に抱き締められる。もぞもぞとそれでもつづらに向かい手を伸ばすと―――――今度は狗に手を止められた。いつの間に来たんだか


「お前がいなくなったら、また虎族荒れるぞ」

「いやでもちょっとくらいなら………」

「蛇族の毒は子供でも劇毒ですからやめてください!!」

「私、ある程度は回復力強い方ですし」

「巳が死ぬからやめてやれ」










そのまま子等の親がはらはらと見守る中三人で言い争っていると、



「よし行け、ちっちぇの。お前にしかあいつは止められないからな」

「りこさまーー」





ぽふっと
私の腰に顔をすりすりと埋めながら、真白の少女が抱きついて来た
即座に私を拘束していた男達をぺいっと払いのけて、彼女に視線を合わせるようにしゃがむと首に手を回されてぎゅーっと抱きつかれた



可愛いなぁ、うちの子達はバイオレンスでこんなのんびりしたスキンシップは出来ないし

にこりと笑いながらその小さな身体を抱き上げるとえへへーと頬を擦りよせられた。やや低い体温がまた冷たくて気持ちいい

「えーっとなんだっけ。あ、そうだ、りこさまの似顔絵書きたいから、あっちきて?だっけ髭無しさん?」

「おー、偉い偉い。っつー訳だから利虎、お前はちっちぇのと巳の社行ってろ」



明らかな作為を感じる。作為を隠されても無いし、若干私と子供たちの交流を阻んだ龍哉にむかつきもしたけど



「りこさまあそぼー?」

「可愛く書いてくださいね?」

「うんっ」

今は小さな少女が可愛らしいから、仕方ないから彼の策にのってやった。




『命を駆ける交流』





「ありがとうございます龍哉殿………私たちでは彼女を止められませんでした」

「あいつの“可愛い”の範囲がいまいちわからねぇ……」

「兎と鼠は確か、悶えたあとに逃亡してたよな」

「…………虎が、逃げたんですか?」

「あぁ。そのあと木をガリガリ引っ掻きながら可愛い連呼してたぞ」

「犬と小魚は口頭で可愛いですねで終わりだったな」

「とりあえず神経質、あいつが巳の縄張りに来るときはちっちぇのを張り付けとけ。あいついつか命かけてじゃれに行きそうだからな」

「………わかりました。嗚呼胃がまた痛くなってきた…」

「そんなんで酒飲めるのか」

「もう飲まないとやってられませんよ………」


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