あの日、全てを諦めた世界で

目眩がするほどの強い光をくれた貴方に焼かれた私は、

もう貴方なしでは生きられない







『死にたかった吸血鬼』






「く、か……はっ」

思った以上に先程の狩人の剣をくらいすぎた
地面に丸く転がりなんとか傷を塞ぐ
何百年も吸血行為をしていないため、治りは遅かったがソコは何事も無かったかのような白い肌が広がっていた

――――問題はここからだ

「っ………く…」

前回“飢餓”に落ちたのはいつだったろうか。
月に三度のペースで陥るソレは気が狂いそうなまでに辛い。でも血は飲みたくない


傷口から出血したせいで飢餓になるのが早まったか
ぼやける視界で冷静にそんなことを考える


楽になりたい
もう解放されたい
こんなに生きたんだから良いじゃないか
――――――けれど死ねない

同胞はみんな死んだのに、私だけ死ねない
心臓を貫かれても、首をはねられても、聖水を浴びるほどくらっても――――血を摂取するのを止めても、死ねなかった


強すぎる力も厄介なものだ


「おい!大丈夫かっ!!」

ふと、低い声に顔をあげると若い男性が慌てた用にこちらに走ってきていた

美味しそう
おいしそう
駄目だ止めろっ
理性を本能が凌駕しそうになり、慌てて彼を突き飛ばす


彼は多分、優しい人間なんだろう……


「こ…うかい、…したくないなら……見捨てろ。…っ大丈夫、だ…」


綺麗な目
久しぶりに見た他者の生き生きした輝きに引き付けられる自分に驚きながら距離を取る
彼を、私のような……泥にまみれた道に巻き込んじゃ駄目だ。殺すのも駄目だ。ホシイ、コレがホシイ、駄目だっ。


「見捨てた方が……後悔するだろっ!」


泣きたくなった


彼は何故こんなにも優しいのだろう
欲しくなる
彼の全てを
全て全て私が所有したい


小さく謝り、彼の唇を奪った







食欲をの殆どを性欲に置き換える
彼を喰い殺さないにはもうこれしかないだろう


自由を全て奪い、耳に首もとに舌を這わせる
そのまま服をたくしあげ、私が気持ちいいところを嘗め上げる

ホシイ、ホシイ、―――――狂わんばかりの快楽が

浅ましくも濡れ出す下肢に嫌悪が込み上げるも、彼に死んで欲しくない。そう言い聞かせて彼の下半身をまさぐると嬉しくも、彼も感じていた



「……っ……ろ」

「?」


拒絶の言葉が聞きたくなくて
封じていた筈の声が聞こえて顔をあげる
何かを必死に話そうとする彼の口に耳をあてながら封印を少しだけ緩める

もし拒絶されたら、いますぐ入れて、終わらせて逃げよう


「俺にさせろ」


熱を孕んだ瞳で睨むように言われて、正直真剣に呆然とした
彼はどこまで優しいのだろう
どこまで私を甘やかすのだろう


久方ぶりに自然に笑いが溢れた






「ひゃぁぁぁぁ!!!!」

ぬちゅっといやらしい音を立てて膣に指をいれられた、
長年使ってなかったそこは、苦しくて痛かったが

理性を壊すほどの渇望を性欲にしたせいか全身が痙攣するほど気持ちよかった


「すっげー熱いんだけど、お前の中……早く俺でぐちゃぐちゃにかき回してぇ……」

体内を掻き回す指が気持ちいい
拡げられる感覚も堪らなくて必死にしがみついて鳴き声をあげる

ホシイ
ホシイの
貴方がいい
でも貴方じゃなくてもいいの
でも貴方が、ホシイ

微かに残る理性と本能が入り交じり訳がわからなくなる。理性を取り戻そうと必死に頭を振ると


「ふ?っぅ、ふわぁぁっ、ああ!」

「は!きっつ……」



かれ、が
大きくて熱い彼が、
私の中に強引に捩じ込まれた

激痛と、
それを上回る快感で
訳がワカラナイ

必死に酸素を取り入れると、獣の用に性欲に満ちた瞳に優しく見つめられてそれだけでイキそうになる

「く、ちっとは緩めろよ」


クリトリスを撫で上げられ、なだめるようなキスを落とされ強張った体から力が抜ける
嬉しい
彼にキスをされた
それだけで嬉しい


「ぁ、ん……ふぅっ…」

ゆるゆると奥を優しく突かれて、痛みも忘れて蕩けるような快感に溺れる
愛しい
嬉しい
もっと欲しい

絡められた舌に陶酔し、多分普通より大きい彼の欲望をしっかり感じていると



「っ!!!!ふっ、ん!!!!!!」

ガツガツとめちゃめちゃに突き上げられる
子宮さえも割り開こうとする突き上げに涙が出るほどの痛みと、イキ続けられそうなほどの快感が溢れ出す
あまりの圧迫感で口から内蔵が出そうなくらいだった

「はっ!よべ、よ……りくって」


「っ、ふ、ぁっ、りくっ、りっ、りぃくっ、んっ」

リク、リク、リク、
壊れたオルゴールの用に名前を呼び続けて性器を締め上げる
締め上げたソコを無理矢理割り入られる感覚がたまらない

ホシイ、ホシイ、ホシイ、

必死にしがみついて、指先から血をすする
すると更に身体がどうしようもなく熱くなって、なって……



「っぁぁぁぁぁぁー!!」

「イ、クっ!!」


子宮にどろりとした熱を入れられる快感で、達した
長い人生で初めてなんじゃないか
あり得ないくらい満たされた
あり得ないくらいきもちよかった
愛しいと、心が必死に叫びだした

貧血でもたれ掛かってくる彼を抱きしめる


「お疲れです。今はおやすみください……」


気を失った彼に、たくさんキスをする

愛しい
愛しい

普通よりは綺麗な顔立ちをしていたが、普通の人間なのに何故こんなに愛しいのだろうか。

宿の自分の部屋のベッドに飛び、ずるりと彼を引き抜く

すると溢れ出す精液が処女でも無いのに微かに鮮血が混じっていて、交わりの激しさを物語っていた

苦く笑うと、リクをに毛布をかけてその寝顔を見つめる


愛しい
愛しい

尽きることなくあふれる感情に戸惑う。でも

「困ったな……離れたくない……」






出来ることならずっと側に。心からそう思った






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