私の大事な友人のほとんどはSだ。
中でもドの付くSとは、結構仲良くやっていた。
高校に入ってから三年間同じクラスで、良くトシをからかっては遊んでいる。
彼は神楽とは頻繁にぶつかってはいたけれど、それもただの戯れ合いの延長だったと思う。
まだまだ子供で幼くて無茶苦茶で。
だから。
「そ、総悟!?」
警察とか冗談も大概にしてください。
この国潰すつもりかよ。
「あんた誰ですかィ?」
総悟はひどく尊大な態度で私を見下ろしながらそう言った。
その言葉にどう返していいか迷っていると、彼は神楽へ視線を向る。
眼中に無いというか興味が無いというか。
そんな感じだ。
「チャイナの知り合いか」
「うちのいそーろーアル」
「てめぇもそうだろ。で、どうしてオレの名前を知ってるんでィ」
ずきりと、胸が痛む。
銀八、いや、坂田銀時に知らないと言われた時のような痛み。
外見はそっくりというより同じとしか表しようがないのに、違うのだ。
私は総悟を知っているけれど、目の前の沖田総悟は知らない。
神楽や新八で多少の抵抗力は付いているものの、やはりいい気分ではない。
「飛鳥はちょっと訳有りネ。その訳は信じないだろうから教えないけどな」
辛辣な口調で神楽が言い放つ。
そして私を庇うように前に立ってくれた。
そういうところは向こうの神楽と一緒だ。
一緒というよりも、同じなのではないだろうか。
ただ、生きてきた世界が違うだけで。
「黙れチャイナ」
「うるさいくそガキ」
ばちりと二人の間で火花が散った。
あーあ、こうなると面倒なんだよね。
巻き込まれないようにちょっと離れる。
止めるような真似はするつもりはない。
彼らを止められるのはごく限られた人たちだけだ。
その中に私も入っているらしいが、よっぽどの事態でない限りは見守ることにしている。
「神楽とそ……君も、怪我しないようにね」
すでに組み合っている二人は聞いちゃいないだろうが、一応。
終わるまで暇だなぁと溜め息をつけば、視線を感じる。
ふとそれを辿るとその先にいたのは、トシだった。
どうやら彼も、警察らしい。
次々と会うクラスメイトのそっくりさん。
20080424