77 問題
そして戦いは終わり、生存者は島へ辿り着く事が出来た。
島のファフナーはニヒト、ツェンが収容、ザインが回収された。
「どういう事です!!」
総士は検査を終え、ザインを調べた容子らに詰め寄った。
「一騎くんの生体反応を確認し、サルベージを終えたわ。でも・・」
そう言って容子は言葉を濁す。
「もう1度調べて下さい!ザインにはナマエも、ナマエも乗っていたはずなんです!」
「・・総士くん」
声を上げる総士の元へ史彦が歩み寄る。
「真壁司令、」
「ザインからの生体反応は1つだけだった」
その改めて言われる言葉に総士はぐっと拳を握った。
「・・すみません」
「ザインにナマエが乗っていたと言うのは確かか」
史彦の言葉に総士は黙ったまま頷いた。
「ありがとう、私の子供達を護ってくれて」
「そんな、僕は・・っ」
「結果がどうあれ親として君にお礼を言いたい、ありがとう」
史彦はそう言って頭を深く下げた。総士は返す言葉を見付けられずにいた。
そして島は大きな変化を見せていた。甲洋、操の帰還。剣司と咲良の結婚、そして、カノンの死。
それに加え今回の戦いで真矢が人類軍に連れ去られてしまった。それに対し、総士はニヒトを交渉材料に人類軍へと赴く事になる。
「己の子らを遣わせてくれた事、100万の感謝と謝罪の言葉でも足りない。ありがとう」
ナレイン将軍はサルベージされ眠る一騎の部屋で史彦に深く感謝をした。
そして1つの提案をする。我々のミールの因子を受けないか、と。
「必要はないわ」
そこに織姫が現れる。その言葉に史彦もそこにいた総士も織姫を黙って見つめた。
「島が一騎たちを祝福する。彼らが望む限り」
「一騎、たち・・?」
総士の言葉に織姫は頷く。
「それは、ナマエの事か!?」
「他に誰がいるの」
その言葉に史彦も僅かに安堵の表情を見せた。
「でも覚えておいて、それが貴方たちの望む姿とは限らない事を」
「それは、どう言う意味だ」
「そのままよ、ナマエがあの姿のままとは限らない」
ミールはまだ命しか知らない、と。その言葉に総士も史彦も頭を悩ませた。果たして彼らは何を持って祝福とするのか、そこが問題だった。
何にせよ現状出来る事はなく、総士は真矢と広登の奪還へと向かった。帰って来た時、彼らが目覚めている様にと願いながら。
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