49 違い


「あれ、珍しいね」

同級生組がいつもの様に喫茶楽園にて集まっている所に、今日はもう一世代集まった。

「お、後輩組来たな!」
「おじゃましまーす!」

そこにはナマエ達の後輩にあたる西尾里奈、西尾暉、堂馬広登、立上芹の4名がいた。

「今日から彼らはパイロットの研修を始めたんだ。だから、こうして先輩パイロット達と交流をしようと思ってな」
「突っ立ってないで座りなさいよ」
「おいでおいでー」

どうだ、と言わんばかりの剣司を無視で席に案内するナマエと咲良。

「あれ?里奈ちゃん、その子もしかして」
「あ、ナマエ先輩初対面でしたっけ」

ナマエの視線の先の男の子、それは隣に立つ里奈と瓜二つだった。

「双子の弟の暉です」

里奈のその言葉に暉はぺこりと会釈をする。そんな2人を見てナマエの顔がみるみる内に笑顔になっていく。

「すごい!本当そっくりだね!」
「えーそうですかー?そんな似てないと思うんですけどねー」

同じ境遇の里奈達にテンションの上がるナマエは里奈と並んで双子話しに花を咲かせた。

「やっぱり一緒に寝たりするの?」


ーーーガシャン!


ナマエの質問の後、キッチンからお皿の割れる音がした。

「や、ごめん。手が滑った」
「一騎、おまえ・・」

そんな一騎に総士は身を引く。

「寝ないですよーもう子供じゃないんだし!」
「そ、そうなの?」

一騎達の会話も気にせず、2人は話しを再開させる。ナマエの発言を笑い飛ばす里奈に、ナマエは戸惑う。

「もうこの歳になったら、手繋ぐのだって無理ですよ!」
「て、手を繋ぐのも!?」

ナマエの反応を気にもとめず、里奈はそうそう、と力強く頷く。

「じゃあハグは!?」


ーーーガッシャーン!


「・・一騎、後で少し話しがある」
「い、いや・・これは手が・・!」

2度目の惨劇に総士は眼鏡を光らせ必死に誤魔化そうとする一騎にそう告げる。

「ってゆーか、この歳になったらそれ全部恋人同士でする事じゃないですか!」

高らかにそう宣言する里奈の言葉に、ナマエは目を大きく開いた。同じもののはずなのに、違う。

里奈の言葉はナマエの心を大きく揺さぶった。

「恋人・・」

ナマエは里奈の言葉を復唱して考え込む。

「里奈ちゃんは、好きな人いるの?」
「な!?」

ナマエの直球過ぎる質問に里奈は一瞬で耳まで赤く染めた。その分かり易すぎる反応に今度はナマエが驚いた。

「好きな人を想うと里奈ちゃんはそうなるんだね」
「や、先輩!私何も言ってないじゃないですかー!」

ふむふむと茶化す様に言うナマエに、里奈は半泣きで反論する。

「好きな人・・か、」

寂しげに呟いたナマエの声を一騎と総士は重く聞いていた。

何よりその横顔が苦しげで悩ましげだった事が、2人の脳裏に焼き付いて離れなかった。









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