小話 | ナノ



ソリラン♀ 2018/05/13 (01:59)


からくり時計が鳴る。曲名は知らないが、聴いたことのある曲は耳に残って離れない。シンデレラよりも早くこの家を出て行かなければいけないのは名残惜しいけれど、狼のような野性味溢れる瞳をした男は残るのを許さないし、ガラスの靴も拾わない。玄関先で髪を撫でる手付きは優しく、蜜の詰まった林檎の様に甘い。「帰りたくない」の一言も言えず、拾ってもらえないガラスの靴を落として、今日も家路に着いた。瞼を閉じれば、からくり時計が鳴っている。(ソリラン♀)


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