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黒木くんと灰羽くん 2018/04/07 (07:02)


なんだかわからなくなった黒灰


「もう黒木くんには私は必要ないですね。」
 その言葉を残して灰羽は俺の前から消えた。その時、あいつはどんな表情をしていただろうか。全く思い出せない。
 灰羽は俺の前から消えたけれど、この世界から身を引いたわけではない。たまに、極たまに顔を合わせることだってあるし、その時に会話をすることだってある。ただ、それはなんだか義務的で、あいつにとっては特に興味のなことなのだろうと推測する。
 あいつがずっと傍にいるとは思っていなかったけれど、離れて行くことなんて想像もできていなかった。
 「必要ない」なんて俺は言った覚えはない。あいつが勝手に言っただけで、勝手に離れて行ったのだ。何が不満だったのか俺にはわからない。戻ってきてほしいのかと聞かれても、正直答えられない。
 灰羽は確かに必要だった。過去形にしてしまうのは、なぜなのだろう。


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