小話 | ナノ



鳴御 2014/12/14 (23:22)


触れるだけのキスを交わしたのは、これが初めてではない。キスをする度に鳴は緊張しているようで、握った拳が震えているのだ。あの、空色の大きな瞳が伏せられるのをこんな間近で見ることができるのは、きっと自分だけだろう。震える睫毛が可愛くて、瞼にキスを送りたいと何度も思ったし、今も思っている。薄く目を開けて、鳴の顔を観察する。きっと目を開けていることがバレたら怒るのだろう。ズルい!と声を上げて「俺も目を開けてキスするから!」と言うのだろう。想像して、ふ、と息が漏れた。薄い唇が優しく触れて、離れる。目を開けると、頬を膨らませて視線を横にずらした鳴がいた。拗ねてしまったらしい。「なに?」「笑っただろ」「早くキスしたくて。じれったいなあって思っただけ」「じゃあ次は一也からして」瞼を閉じて、待っている鳴に、自分の唇を押し付ける。それでも足りなくて、啄むように何度もキスをしたら、鳴に肩を掴まれて押し倒された。マウンドに立っている時の瞳には、俺が映っている。

2014/12/14 23:21


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