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自分の発言に責任を持ちましょう
十[どうしようかねぇ、これ。
首につけられている銀色のものを指でいじる。あの時はなんだったんだ一体。
その場のノリかと思っていた、だけど本気だとは思わなかった。どうしよう。首に違和。邪魔。何でこんな面倒な…]
燈「おーい、トシ、今日放課後どうするよ」
叶「今日吉崎の補修だろ?」
燈「え、まだやってんのか。つか顔怖いぞトシ」
叶「お前の顔に比べたら十織の今なんてかわいいもんだ。」
燈「おいそれどういう意味だよ」
叶「そっのまんま!」
燈「…やべ、東とか言いそうになった…」
叶「馬鹿だな、哀れだ」
燈「んだとてめぇ…」
十[基本的に二人の会話は聞いているに限る。そんなにしゃべるのが上手くない俺は、いつも聞く側に回っている。というか、そんなにしゃべって疲れないのか?
教室で待ってろと言われたから待機して早三十分。帰ろうかなもう。]
燐「はいはい、数学がそれなりに出来る奴はかえろうか」
十「…帰っておけばよかった…」
叶「いやいや、捕まってたと思うぜ、やめときな」
燈「今日バイトだろ?あとでなトシ」
十[…二人がニヤニヤしてる。なんだよ、二人とも意地悪。
もう一度銀の鎖を確認する。やっぱり違和。邪魔。面倒くさい。]
燐「ちゃんとしてんのか、えらいじゃん」
十「馬鹿にしてるの?それとも本気で馬鹿?」
燐「やる気満々だな、少しは出来るようになったのか?」
十「燐がいる限り、俺が数学できるようになる日は来ないよ、だから爆ぜろ」
燐「ほーう、久根は俺の補修を受けていたいのか…」
十「そのポジティブ頭にはもうあきれを通り越して賞賛に値するよ」
燐「よし、ではそんなお前にこれをやろう」
十「…数学のテキストなんかいらない!」
燐「もっと勉学に励め、ただでさえバカなんだから」
十「言葉の暴力反対!」
十[燐と話しているときは、しゃべっていて疲れるとか感じないんだけどな…叶琉や燈馬と話すときは聞いていたほうが楽なんだよ…なんでだろ、まぁいいや。
銀のチャームが動く。そういえば、なぜ昨日になって首輪なんていい始めたのだろうか。]
燐「んー?手が止まってるぞ」
十「ねぇ燐、なんで急にこれくれたの」
燐「え、あぁ、誕生日プレゼントだったんだけどな。」
十「…燐」
燐「そういうの好きそうだし、いいかなと思って。」
十「…俺の誕生日、半年後なんだけど」
燐「バレたか…」
十「当たり前だろ、自分の誕生日を知らないと思ってたのかバカ燐」
燐「意外といけるかなと思ったんだけど…」
十「…で、本当の理由は?」
燐「インターハイに向けてのお守り」
十「…燐」
燐「俺の力が届くようにってさ」
十「部活中は出来ないのに…していたくなるだろばーか」
燐「バッグにでもつけとけよお守りだし」
十「自分の発言に責任を持ちましょう」
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