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認めない
燈「…また来てんのか…」
ゆ「客にそんなこといってんじゃないわよばか。」
燈「いや、仕方ないだろ。あいつが来ると店ン中がうるさくてかなわねぇわ…しかも今日はおまけつきだし。」
燈[もしかしたらこれは喜ばしい状況なのかも知れねぇ。それなりにイケメンの二人が店に来て、女子客は増える。
けど、ここの常連さんは静かな客が多いんだよ。てめぇらが来て周りがうるさいからって帰った常連さんがいたらどうしてくれる。]
歩「せんぱーい、今日も店番ですか?」
燈「…何日連続で来てんだよ…」
歩「先輩こそ、何日連続で店番なんですか。さすがに多くないですか?」
燈「どーでもいいからとっとと帰れよ。つか、なぜ吉崎がいるんだよ」
歩「久根先輩の誕生日プレゼントを買いに来たらしいですよ。…そういえば、久根先輩は…」
燈「部活じゃねーの?インターハイかかってるらしいし。とっとと帰れ」
歩「ひどいなぁ…俺一応常連客ですよ」
燈「お前は常連である前に俺の後輩だ。」
歩「そして恋人でもある。」
燈「黙ろうか峯木」
歩「やだなー本当のことでしょう」
燈「もう、知らん、疲れた」
燈[品だしの最中だったがもう知らん。夜からトシが来るはずだ。トシにやらせよう。知らん。
ダンボールをまとめていると、後ろからくすくすと笑う声がしたような気がした。何笑ってんだよ。]
燈「んだよ吉崎」
燐「いや、面白いな、お前」
歩「面白いですか?」
燐「夫婦漫才みたいだ」
燈「…頭腐ってんじゃねーの」
燐「…『恋人』ってところは否定しないんだな。一番ツッコミを入れると思ったのに。」
燈[しまった…!!完全にスルーしてた…!!
別に断じてうれしかったとか、そんなことではないんだ。違う、違うぞ。]
歩「あ、そういえばそうですね。」
燈「べ…別に本当にそうだってわけじゃねーし?ただツッコミを入れるのにも疲れただけで…!」
燐「ほーう、それで?」
燈「それで!?え、いや、うれしかったとか、そんなことは…!」
歩「うれしかったのですか?喜んでいただけるなら何度でもいいます。」
燈「言ってほしくなんてないわ!!」
歩「その割には顔、赤いですよ先輩。」
燈[そんなことない…絶対にない、断じてない。
頬が熱い気がするが、気のせいだ。気のせいにしたい。言われてそんな気がしているだけだ。
気を逸らそう。早く家に帰りたい。それかカウンターに隠したBL本を読みたい。]
ゆ「ちょっと燈馬ー。品だしおわったのー?くっちゃべって手が動いてないとかいったらしばくわよ」
燐「店長さーん。ちょっと聞きたいんだけど…」
ゆ「はいはい?何かしら」
歩「…もしかして怒ってます?」
燈「んなわけねぇだろ」
歩「じゃあ喜んでます?」
燈「ば…もういい。知らん。そういうことにしておいてやる」
歩「素直じゃないなぁ」
燈「みとめない」
歩「認めなくていい。」
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