「そーいえば、お前は大丈夫なのか?」


「ん?何が?」


最近、私達…というか大佐の周りでは、傷の男や人造人間など錬金術師に引けをとらない危険な『化物』がちらほら出てきた。話によると、国家錬金術師を狙って暴れているとか。


グイッとグラスを煽りながら私をみたハボック。軽い口調だが彼なりに心配してくれているのだろう。


「大丈夫よ、エドや大佐みたいに派手にやってないし?」


「疑問系かよ…。ま、気をつけろよな」


「ジャンこそ、私より自分の心配しなさいよ。大佐の下にいる間はおちおち彼女作れないわね」

「っあぁー、あの人ホント人使い荒いよなぁ…」

「信頼されてるのよ、あんた」


「お前も、大佐のサボリ癖のせいで書類溜まって大変だろ」


「その分、中尉が叱ってくれてるから大丈夫だわ」


私達の乾いた笑いと同時に、店の外から大きな物音が響いてきた。

ガシャンっ、バリーンっ!!
店内が騒然となる。こうなると軍の人間としては市民の安全確認の為に動かざるをおけない。



「…ハボック、酔ってないわね?」


「ったく…、ついてないぜ」


「皆さん落ち着いて下さい!私達は軍の人間です。安全の為、その場を動かないで下さい」



素早く外に出ると舗道が破壊されていて、その真ん中には得体の知れない動物…、おそらくキメラと呼ばれる物だろう。


あぁ、もう!折角いい気分だったのに。苛立ちを抑えて両手を合わせる。辺りの気温が一気に下がる感覚と共に、巨大な氷の壁が飲み屋を覆った。よし、これで大丈夫。
気がつくとハボックが隣で銃を構えていた。


「みょうじっ!1人で先走るな!」


「それより、一気に片付けるわよ。援護よろしくっ」


「あっ、このバカっ…」







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