拝啓、きみ | ナノ




今でも覚えていますか?

きみへ

拝啓 お久しぶりです、恭弥さん。桜がひらひらと舞う季節になりました。並中の桜並木を柵から覗く度に恭さんのことを思い出します。

 あ、そういえば拝啓の後にきみ、なんて恭さんに向かって失礼でしょうかね。やっぱり此処は雲雀さん、と書くべきだったですか?

イタリアの本部は如何ですか。日本支部は相変わらず、元気です。特に、イタリアからの派遣できたルヅァイさんは場を盛り上げてくれます。ムードメーカーです。でも、たまーにですが、敵マフィアが入ってきます。ルヅァイさんはそのときは真面目に指揮をとり、敵を倒してくれます。そのたびに私が非戦闘員で使えないことを悔やみますが、学生の時、恭さんが「名前が出来る事、すれば?」って言ってくれた事を思い出し、頑張れています。本当に、有難うございます。出来れば面と向かって言いたかったんですが、残念ながら暫くそちらには行けそうにありません。……というか、あの、この台詞、今でも覚えていますか?恭さんなら、「そんなこと言ってないよ。」とか「忘れたよ。」とか、言いそうですね。
 話がずれました。兎に角、こちらは元気でやっていますと言う事をお伝えしたく、この手紙を書きました。体に気を付けて、頑張って下さい。

苗字 名前

敬具


貴方がいないと寂しいです。

手紙の端に小さく書いてあった最後の一文。ルヅァイのことが書いてあった時は苛っとしたが、最後の一文で仕方ないかな、なんて思ってしまった。ルヅァイは帰ってきたら咬み殺すとして、早いうちに有休でも取って、彼女に会いに並盛に行こうと思った。最近は敵対のマフィアが何のと騒いでいるから、それが終った頃にでも。骸が恭弥君が笑うなんて気持ち悪いと言った。僕は笑ってたのか。まずは骸を咬み殺そう。返事は、それからだ。

今でも覚えていますか。



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