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「え、水戸部くん写真撮るの好きなの?」


わたしの問いに彼はこくりと頷いた。
言われてみればみんなで集まる時とか合宿とかカメラ持ってる姿よく見かけた気がする。
彼がどんな写真を撮るのか気になり今度見せて欲しいとお願いしたら、少し照れ笑いを浮かべながら了承してくれた。




昼休み、友人に用があり水戸部くんのクラスを訪れるとちょんちょんと背中を突かれた。振り返るとそこには水戸部くんがいて、封筒を差し出された。なんだろうと手にとり中身を見て納得。お願いしていた写真を持ってきてくれたのだ。
まだ午後の授業が始まるまでは時間あるし、どうせなら一緒に見ようと思い水戸部くんの前の席に腰をかけた。


「わー懐かしい!これ一年の時のだ!みんなちょっと幼いね。あ、このコガ変な顔してる」


普段の学校生活や行事、部活の休憩中や合宿、オフの日にみんなで出かけた写真。今となってはどれも懐かしい。最近は忙しくて出かけることも少ないし(バスケ馬鹿ばかりだから結局みんなバスケしてる)、またこうして出かけたいな、なんて。
写真にはみんなの笑顔が溢れていて見てるこっちまで幸せな気持ちになってくる。水戸部くんの目にはみんながこんな風に映ってるんだなあ。
写真の中にわたしのピンショットを発見した。いつの間に撮られたんだろう。あ、これもわたし一人だ、目半開きだ。恥ずかしい。次もわたしだ。これも。これも……。

次へ次へとテンポよく写真を捲っていた手が止まる。
そんなわたしを疑問に思ったのか、今までわたしの様子を見ているだけだった水戸部くんが写真を覗き込んだ。途端に手元にあった写真は水戸部くんとは思えない強引さで奪われ、彼の顔はみるみるうちに真っ赤になった。

え、何この反応。もしかすると、もしかして…ーー


「……水戸部くん、わたしのこと好きなの?」


漠然とした疑問だった。
頭に浮かんだことをそのまま口にしたため、水戸部くんが真っ赤になったのを見て自分が言ったことの重大さに気づいた。
わたしとんでもないこと聞いちゃったんだ。水戸部くんめちゃくちゃ困ってるし。今のなしって言った方がいいのかも。
そんなこと考えていると、ふいに水戸部くんが顔をあげた。その目はまっすぐにわたしを捉え、小さく頷いた。

水戸部くんが、わたしのこと、好き?

頷きの意味を理解したら赤くなるのは今度はわたしの番。顔から体のありとあらゆるとこらにどんどん熱が広がっていくのがわかる。
恥ずかしい。逃げ出したい。
でも水戸部くんが答えを待ってる。彼が逃げずに伝えてくれたようにわたしも伝えなきゃ。


「水戸部くん、今度は写真…一緒に写ろうね」


水戸部くんは少し目を見開いてから、照れ臭そうに笑った。



心の窓からこんにちは

2013.10.13
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