今シーズン最強寒波到来!
テレビや新聞の見出しでそんな煽り文句を見かけるのは何度目になるだろう。……ワンシーズンに最強寒波何度来るんだ。
外に出ると刺すような冷気が痛いし、巷ではインフルエンザが大流行しているので、不用意な外出を控えるようになった結果、家でファンヒーターの前から動けなくなった。
「ファンヒーターと結婚したい」
「は?」
読書をしていたカカシが顔をあげて、怪訝そうに眉を顰める。
「だっていつも私を温めてくれるんだよ?『寒いのか?俺が温めてやるよブオー』って、まじイケメンだよね。片時も離れたくない結婚したい。あーでもこたつ先輩も捨てがたいな。一度入ったら出してくれないよねもう離さない的な」
「ふーん……温めてくれるヤツならなんでもいいんだ?」
音を立てて本を閉じたカカシが、ずんずんと近づいてくる。え、なんかカカシ機嫌悪い?
「カカシ?」
「そんなに寒いなら温めてやるよ、オレが」
「え、え」
「温めてくれるヤツならなんでもいいんでしょ」
「ちょ、カカシ」
「そいつらとオレと、どっちがお前を熱くさせられるか勝負しようか」
にっこりと笑うカカシの顔が笑っているのに目が全然笑ってない。
嫌な予感は見事的中し、気付いた時にはカカシの手が体を弄りはじめていた。
カカシにあちこち触れられる度に、そこから熱が灯っていく。
ファンヒーターつけっぱなしにしてるのかと思ったけど、いつの間にか電源は切られている。なのにこんなに熱いなんて。
「あっ……カカシ……あつい」
「お前を熱くさせるのはオレだけで十分でしょ」
こんなのやる前からとっくに勝負はついてる。私をこんなに熱くさせるのはカカシしかいない。
「オレをこんなに熱くさせるのも、お前だけだよ」
果てる直前、耳元で甘く囁かれた言葉に、より一層熱が高ぶった。
-----
冬はファンヒーターと結婚したくないですか?