山の山頂を見上げるかのようにしてカカシを見上げる子犬のあたしと、これでもかってくらい子犬のあたしを見下ろしてくるカカシ。
「…………」
「…………」
カカシにあたしだってバレるのは非常にマズイ。馬鹿にされるに決まってる。何よりこの格好を見られるのは恥ずかしい。内心冷や汗だらっだらのあたしの体が突然浮いた。カカシに抱き上げられ視線が痛い程刺さる。
バレてない、よね?
「突然落ちてきたからびっくりしたじゃない?どっか痛いトコない?」
よかった。バレてない。
喋る訳にもいかないので頷いてみせた。
「お前言葉がわかるの?なかなか優秀だねー」
と、カカシがゆっくりあたしを下ろす。
(――っ!)
地面に後ろ足がついた時痛みを感じた。まともに4本足で立てないあたしをカカシがもう一度抱き上げる。
「怪我してるじゃない。オレんちで手当てしてあげる」
――は!?
危うく声に出しそうになってしまった。だってだってだって…
カカシんちだとおおお!?
カカシが瞬身を使った為、即効でカカシ宅に到着した。ワンコなあたしには当然拒否権なんかなくてされるがまま。カカシは手慣れた手つきで手当てし始める。
「忍犬達がいるから犬の世話には慣れてんのよ、オレ」
そっか。パックン達いるからワンコのお世話慣れてるもんね。だからってカカシ……一般の喋れない犬に話し掛けるような性格してたっけ!?
「ハイ、終わり」
手当てが施された足には丁寧に包帯が巻かれていた。
「まだちゃんと歩けないだろうから直るまでウチにいるといいよ」
ふわ…っと大きくて温かいものが頭を撫でる。
うわああ。何この感じ。カカシの手ってこんなに大きかったっけ?なんか恥ずかしくなってきた。気付けばカカシの顔がすぐそこにあってこっちをジーっと見ている。
「お前…………なんか朔に似てるね」
バ……バレたああああ!?
「あ、朔っていうのはオレの同僚なんだけどね」
あれ?バレてないっぽい?
「雰囲気とか……お前に似てる」
カカシ……
「だからサクって名前どう?お前にぴったりでしょ?」
◆同じ名前を貰いました