ワンだふるでいず | ナノ



昨日の晩はあまり眠れなかった。緊張からなのか、それとも昨日のカカシのせいなのかはわからない。今朝一番に交わしたカカシとの挨拶がいつも通りだったことに安心した。




暗い地下室に連れて来られた。部屋の前には二人の暗部。中には綱手様、シズネさん、トントン、医療班、尋問部隊のイビキさんが揃っていた。
地下なので当然のことながら窓はなく、松明の明かりが届かないところはやはり暗い。暗闇にぼんやりと人影が見えた。目を凝らしてみるとアスマに紅、ゲンマだった。ここにいる人達はあたしのワンコ化を知る人ばかりだ。ワンコになってからもこんなにいろんな人にお世話になってたんだ。


「揃ったな」


綱手様が目の前まで来て下さった。力強く真っ直ぐな瞳。大丈夫だ、心配ない。そう言ってくれているようだった。


「始めよっか」
「うん」


円形状に書かれた術式の中に座らされる。カカシが後ろに回って背中に更に術式を書き込んでいく。

初めはこの姿でいるのも、カカシに世話されるのも御免だって思ってたけど、いつしか離れるの嫌になって、このままでも良いって思ってる自分がいた。すきだから一緒にいたい。このままでいたら一緒にいられる。でも、すきだからこそ人の姿でカカシの隣りにいたい。だからあたしは覚悟を決めた。このまま何もせずワンコになるくらいなら、やれるだけのことはやってみたい。

カカシの手がスっと離れて、その姿は正面にあった。


「カカシ、」
「ん?」
「よろしく!」


カカシに満面の笑みでVサインを向ける。実際は指が短くてVにならず、手を出してるだけのように見えるんだけど。


「うん」


カカシも同じように笑顔でVサインを返してくれた。今の通じた?

カカシが術式の中から出て印を結び始める。一つ一つ確かめるような指の動きを目で追う。もしも元に戻れたなら一番はじめにあなたに伝えたいな。昨日言わせて貰えなかった言葉を――。

印を結び終えたカカシの手が術式の上に置かれた瞬間、身体に電流のような衝撃が走る。


「う…ああ……」


あつい。身体中が熱い。うまく呼吸できない。焼けるような熱さに身体がおかしくなりそう。視界が真っ白になった。何これ…煙?焼けるような熱さに意識をもっていかれそうになりながらも頭の片隅で考える。




何これ、やだ、やだ、あつい、あつい――




ポン!!




◆すべての終わりを告げる音が聞こえました
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