ワンだふるでいず | ナノ



「はい、ごはん」


目の前に出された朝食に、すっからかんになった私の胃は食を欲する。


「待て」


来たなぁぁぁあ!!カカシ早くぅぅぅう!!あたしお腹空いて死にそうなんだって!ぬあぁぁあ!!
カカシと睨み合い合うこと数秒。


「よし」


ようやくお許しをいただきました。いただきます!

以前と変わらない生活が続いている。ただ、あたしが『あれ』を意識してしまい、変な態度をとってしまうことが多くなった。触られたりするだけでも心臓ばくばくするし、一緒に寝るにしても隣りにカカシがいるだけで寝付けない(そのせいで最近睡眠不足)。あたし今までどうやってカカシに接してたんだっけ?











今日の7班の任務は牧場の手伝いだった。ナルトは文句ばっか言ってたけど、Aランク任務なんかより全然いい。口には出してなかったけどサスケくんも不満そうだった。カカシ先生は今日も見てるだけ。ううん。見てすらいない。木陰に座っていつも持ち歩いてるいかがわしい本を読んでる。

でもいいんだ。今日はサクちゃんも一緒だからちょっと楽しい。作業する私の横にちょこんと座ってる姿が可愛いらしいの。カカシ先生はずっと自分のそばにいて欲しかったみたいだけど、サクちゃんもたまには飼い主のそばを離れてみたくもなるんじゃない?今日は私かサスケくんかナルトの所ばっかりいるもの。

今だってからかいに来たナルトとサクちゃんは仕事そっちのけで追い掛けっこ始めちゃったし。あ、サスケくんが止めに入った。なんか今日のサクちゃんカカシ先生を避けてるように見えるんだけど、気のせい?



「カカシ先生」
「サクラか。どうした?」
「サクちゃんじゃなくてすみませんね」


先生が思ったことを顔に出すなんて珍しい。サクちゃんに避けられてることがそれほど堪えてるってことなのかな。


「今日のサクちゃんカカシ先生のこと避けてるように見えるんですけど?」
「やっぱりそう思う?」
「先生サクちゃんに何かしたんじゃないですか?」
「最近ずっとあの調子なんだよねぇ。心辺りナイんだけど」


サクちゃんに目を向けるカカシ先生はどこか寂しそうだった。相当凹んでるみたい。こんな先生めったに見られないからちょっと面白いけど。


「あ!先生にずっと訊きたかったことがあるんです」
「ん?」
「朔さんに逃げれたって本当ですか?」
「え!何それ!?誰が言ってたのよ!?」
「最近カカシ先生が朔さんといるところ見ないから噂になってますよ」
「あー朔ねぇ……」


なんとも言えない表情を浮かべるカカシ先生。やっぱりあの噂って本当!?


「朔は今長期任務に出てるから里にはいないんだ」
「じゃあ先生寂しいですね」
「んーそうでもないかな」
「え?どうしてですか?」
「だって今は」


先生の視線がサクちゃんに向いた。あ、そっか。


「今はサクがいるしね」






午後もやっぱりカカシ先生は見てるだけだった(いや、実際見てないんだけどね)。そういえばサクちゃんが見当たらない。どこ行ったんだろう。


(あ、いた)


本を読んでるカカシ先生の膝の上にちょこんと乗って丸くなっているサクちゃん。どうやらおやすみモードらしい。ナルトと走り回ってたし無理もないか。今日は全然カカシ先生のところにいなかったけど、やっぱりサクちゃんはカカシ先生のそばが1番安心できるんだろうな。




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