ワンだふるでいず | ナノ



里に帰って来た翌日。
朔のことが気になったオレは火影様の元を訪れた。


「ゲンマか。どうしたこんな朝っぱらから」
「朔、どうしてますか?」
「朔なら検査の後お前の元へ向かったはずだが?」
「え……」
「会ってないのか?」
「はい」


火影様の表情がみるみる焦りを含んだものに変わっていく。


「朔を探せ!なんとしてでも見つけ出すんだ!」
「ハッ!」


あの馬鹿!あんな格好のままどこ行きやがったんだよ。











「ハイ、朝食」


目の前に出されたのはドッグフード。あの、あたし変化してるだけで一応人間だから!犬用の食べ物とか無理だから!精一杯首を振って拒否をアピールすると、カカシは皿を下げた。助かった。


「お前ワガママだねー。ミルクなら良いでしょ」


ワガママとかいう問題じゃないから!人体に悪影響だから!あたしをどうしたいの!?と、言ってやりたいは山ほどあるがそんなこと口に出せないので、出されたミルクと共に飲み込んだ。


「オレ今日は部下達と任務だから大人しく待ってるんだーよ?」


カカシは上忍師だから忙しいんだよね。ナルトくんが言ってたけど任務中もイチャパラ読んでるらしいし。子供の前であんなもん読むなんて教育上よろしくない。
それにしても、今日のカカシなんか機嫌良い気がする。


「どーしたのサク、オレのことそんなに見つめて。もしかして淋しいの?」


いや、違うから!
何だこのポジティブ野郎!


「アイツ……朔もね、オレが任務に行く前そうやって淋しそうに見てくるんだよ」
(え……?)
「子犬みたいな目でね」


カカシの手が頭に触れる。


「たぶん今日アイツが帰って来ると思うから会わせてあげるよ」


ポンポン。と軽く叩いてカカシの手が離れる。大人しくしてるんだよ、と言い残して出て行った。




「はぁ……」


カカシの気配がなくなったのを確認してどっと出る溜め息。溜まっていたものが一気に吐き出される。黙ってるのって結構辛い。


(カカシはあたしが今日戻って来ると思ってるんだ…)


カカシの求めてる“朔”は戻ってこない。あたしはいつになったら戻れるんだろう。まさか一生このまま!?いやいやいやいや。……まさか、ね。


「……あ!元の自分の姿に変化したら戻れるんじゃないの!?」


我ながら良い考え。早速実行しようと印を組もうとしたのだが……


……組めない。


指短いくて肉球あって印が組めない。イコール、忍術が使えない。




NO―――――ッ!!!




◆肉球を呪いたくなりました
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