部屋のベッドの上に座って雑誌を読みながら今日もイルミの帰りを待っていたところ、いつもは夜に差し掛かる時間帯まで帰ってこないくせに今日は夕方になってすぐに帰ってきた。普通に帰ってくればいいものをこの男は完璧な絶で気配を消したまま現れ、そして後ろから抱きついてきた。びっくりしないわけがなく何がなんだかわからないままじたばたしていると「俺だよ」と耳元で声がした。


「絶はやめてって言ってるじゃん」
「毎回反応が面白いナマエにも非はあるんじゃない」
「遊ばないでよ」
「愛でてるんだよ」
「…もう」


口ですらこの男には勝てない。悔しい。でもわたしが悔しがることもまたイルミを喜ばせる材料にしかならないことを知っている。あーつかれたと言いながらベッドにうつ伏せでいた私の上に重なるようにイルミは寝そべった。「重いよ」「またまた」「いやいや」「まあまあ」なんだこの会話、とりあえずどいてほしかったんだけど無理そうだ。


「イルミ今夜何食べたい?こんな時間に帰ってくるなんて珍しいから、今日はリクエスト聞いてあげるよ」
「ナマエ」
「食べ物で」「ナマエ」
「……あのねえ…」


いい加減怒るよ、と言おうとしたと同時に私の視界が反転した。うつ伏せでいた状態から仰向けに無理矢理されたかと思うとイルミが馬乗りになっていた。いや待て、どうして目がマジなんだこの男は。私は本気で夕飯に何が食べたいか聞きたかっただけなのに。黒目の大きすぎる瞳が語る、もう逃れることなど不可能だと。


「イ、ル…待って…!」
「今日」
「え…?」
「なんで早く帰ってきたと思う?」
「なん…で、って……あ!」
「やっと思い出した。まったくなんで自分の誕生日忘れてるわけ?」


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