『もう、一年ですね…』

「うん、そうだね」



ここは誰も居ない屋上
私達……私とジロー先輩しか居ない…

だって今は授業中だから
校庭で体育やってる声が聞こえる。


お弁当をジロー先輩と屋上で食べていたんだけど、眠くなったジロー先輩に膝枕してたら私も眠くなっちゃって
気づいたらもう授業が始まっていた。


しかも起きたら、私がジロー先輩に膝枕をしていたはずなのに、いつの間にかジロー先輩の膝を枕にして寝ていた。

そして、目が合い、言われたのが冒頭の台詞だ。



***********************

いつの間にか寝ちゃった苗字を起こさないように膝枕をした。

相変わらず間抜けな寝顔だなぁ
俺が苗字と会ったときもこんな顔して寝てた

この屋上で。



俺が苗字と出会ったのは中三の時。
午後の授業サボろうと思って屋上にきたら、俺の特等席に誰かいた。

制服を見れば、女の子だって事ぐらいすぐに分かった。

けど、もしこれがジャージとかだったらきっとわかんなかったと思う。

その時の苗字は、肩につくには程遠い髪の長さで、しかもアホ面で大の字になって寝てたから。


好奇心に駆られて俺はその女の子の傍にずっと居た。
別に話した事も、まして見たこともない女の子なんだけど

“早く、起きてくれないかなぁ”って思った。

その寝顔は笑うとどんな顔になるの?
君はどんな声で話すの?


もっと君の事、知りたい
だから……



「早く、起きて……」




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