お熱な彼女は甘えん坊


「まったく、情けないな」

『ご、めんなさい…』



俺は今最愛の彼女である名前の部屋にいる。
本来ならこの時間は学校で授業を受けなければならない。

しかし、待ち合わせの時間になっても名前が来ない。
何かあったのだと思い、彼女の家に行ってインターフォンを鳴らすと、玄関に現れたのは名前ではなく名前の母親だった。
どうやら風邪を引いたらしく、寝込んでいるとの事。

最近部活ばかりでマネージャーの彼女には少し無理をさせたようだ。

罪悪感を感じながら彼女の家を後にする。

一限目は普通に授業を受けた。
しかし、もう限界だ

名前の事が心配でたまらないし、何より名前に会えないという苦痛に耐えられなかった。


気分が悪いと言って早退させてもらう。
真田に怒られるかな?まぁ返り討ちにするけどね。

名前の家に直行し再度インターフォンを鳴らす。
今度は名前本人が出てきた。
あぁ、見るからに辛そう。
でも、パジャマ姿がすごく可愛い。


『せ、精市っ!?何でこんな時間に………っ』

「名前っ!!?」

いきなり大きな声を出したからだろう。
ふらついて倒れそうになった彼女を支える。

肩で息をしている名前を抱えて家にあがる。どうやら母親はいないらしい。

部屋に入ってベッドに寝かす。
体温計で熱を計ると39度



「まったく、情けないな」


冒頭に至る。


『せ、いち…ごめんね?』

「何で名前が謝るんだい?」


完全に無理をさせ過ぎてしまったのは俺達だ。



「おばさんは?」

『おか、さんは…仕事』


仕事か、なら仕方ない…。というか、俺はそのために来たんだ。

「名前の看病は俺がするよ」

『うん、ありがと…』


風邪だからかな?今日の名前はとても素直だ。


「少し寝たほうがいいよ」

『ん…、せ、いち?』

「なぁに?」

『手、握ってて…?』

「ふふ、今日は随分と甘えただね」

『ん、』


手を握ってやると安心したのかすぐに眠った名前。

ちゃんと寝たのを確認して名前の手を布団に入れる。とりあえず、おかゆを作りに行こうと思い立ち上がる。

けど、何かに腰をつかまれて立ち上がることが出来なかった。


『せ、いち…行かないで?』

潤んだ目で俺を見る名前。駄目駄目、欲情しちゃ。名前は風邪なんだから。

でも、キス位は…いいよね?


俺は彼女の唇にキスをした。
名前は真っ赤になって布団に潜った。


俺はもう一度立ち上がり、おかゆを作りに行った。作り終わって部屋に戻ると、布団から少し顔を出した名前が俺の帰りを待っていた。




おまけ→


[ 2/50 ]

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