中身は子犬でも外見は大型犬
『日吉ー』
「何だ」
『鳳知らない?』
「鳳?」
廊下の向こうから名字に呼ばれた。
彼女は鳳を探しているらしい。
『泣いて逃げ出しちゃったんだよね』
「あの野郎…」
『人目につく前に見つけたいんだけど中々見つからなくて…。心当たりとかある?』
「ないな。それよりお前何したんだよ」
『何もしてないよ。ただ、チョタって子犬みたいだねって言っただけで。』
「それが原因か」
完全にそれが鳳が泣いて逃げ出した原因だと俺は思う。
何故かって?長い付き合いだよ、面倒臭ぇ。
『え〜、やっぱりあたしのせいか。子犬って言われるの嫌だったのかな?割と褒め言葉のつもりで言ったんだけど…。』
名字は不思議そうに首をかしげる。
鳳は(自分で気づいているかどうかは疑問だけど)名字に好意を抱いている。
しかも、名字のために強くなると断言した矢先に子犬という何とも可愛らしくか弱い存在に例えられてしまったんだ。
これはちょっと同情する。
でもスケール小せぇな…。
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