心臓が口から飛び出すかと思った。穏やかな寝息をたてて、俺の隣で寝ているみょうじを見て思わずパンツを履いてるか確認してしまう。ああうん、良かった履いてた。ほっと胸を撫で下ろして、それからまた吃驚する。何で みょうじが俺のシャツ着てんの、え。思い出そうとしてもぼんやりしている昨夜の記憶が恨めしい。どうするよ、これ。頭を抱えて呻いていると、俺の声で起きたらしいみょうじと目があった。


「おはよう、竹谷」

「…オハヨウゴザイマス」

「何で敬語なの?」


訳が分からないと首を傾げるみょうじを見てると、申し訳なくなった。ここで何も覚えてないとか言ったら、俺最低な男じゃないか。更にドツボにはまっている気がして、だらだらと冷や汗が背を伝う。


「昨日はすごかったね、吃驚しちゃった」

「えっ…」


段々と色濃くなる可能性に焦りが生まれる。何したんだ俺。思い出せ、思い出してくれ。


「私のあんな激しいの初めて、竹谷は?」

「お、俺?俺は…」


全く何も覚えてないです、とは言えずに言い淀む。昨日先輩達と打ち上げで散々飲んだところまでは覚えてる。問題はそれ以降だ。至っていつも通りの態度のくせに、それっぽいことを言うから余計に混乱する。何したんだよ、俺。ねぇねぇ、と答えを急かすみょうじはあまりにも無邪気に笑っている。本当のこと言ったら怒られるかな、一発くらい殴られたりして。


「あー…悪いんだけどさ、」

「ん?」

「何も覚えてねぇんだわ、俺」


ぴし、と目の前でみょうじが凍る。やばい。せめてもの謝罪に頭を下げると震えたみょうじの声が静かに落ちた。


「何も、…本当に何も、覚えてないの?」

「う、………すいません」

「昨日のこと、全部、忘れちゃったの?」

「…………はい」


あああどうしよ、泣かせたか?少しだけ顔を上げて見たみょうじは俯いていて、表情が見えなくてどう言葉をかければ良いのか、全く分からない。しばらくそのままでお互い黙っているとぶっ、と空気に似つかわしくない声が落ちてきた。


「ぶふ、ははっ…ごめん、ぶはっ…ふふふあはははは!!」

「………みょうじ?」

「ごめん、竹谷があんまりにも、ぶは…面白いから、あはははっ」

「……おい」

「ふふ、竹谷が思ってるようなことは残念ながら、なかったよ」


からかわれたことに怒るよりも、未遂で良かったことに安心する。いつの間にか止まっていた息を吐き出すと凝り固まっていた緊張感がほどけていくような気がした。


「お前なぁ、言っていい冗談と悪い冗談が………」

「?」

「残念ながら…?」

「うん、残念ながら」


にっこり笑うみょうじに思わず頭を抱えた。そんなこと言われたら、期待するだろ。





好きにしてよマイディア
(期待させてるの)





 
ついったでいつものようにリクエストくれよーと暴れてたらとある女神様からシチュ付きでリクをいただきまして(*´∇`*)でも竹谷は酒強いと思ってる。強いせいでいつも後片付けとかさせられてると可愛い。何で竹谷のシャツ着てたとかは割愛( ̄▽ ̄= ̄▽ ̄)おぶじぇちゃんに捧ぐ。
 



- ナノ -