(もし、明日世界が終わるとして。今日一日何だってやっていいと言われたら、あなたは何をしますか)


未来なんて予想できない毎日の中で、存在するかも分からない明日について。何度も繰り返されたありきたりな質問だった。けれどそんな使い古しの質問でも雷蔵を悩ませるには充分すぎるらしい。真剣に悩んでいる雷蔵の隣に座り、漏れている独り言に適当な相槌を返していく。内容はどうやら読みたかった本を読むか、今度食べよう思ってた物を食べにいくか。本を読むならどの本にするか、食べに行くなら何を食べるのか。そんな感じのことで悩んでいるようだ。


「全部やったらいいじゃない」

「でも一日しかないし、うーん…」

「じゃあ今のうちからやりたいことやっておけば?」


そしたらやりたいこと少なくなるでしょ。あたしの言葉に雷蔵は新境地を見たような目をして、それから嬉しそうに笑った。


「なまえがいると答えが決まらなくてもいい気がする」

「いや、答えは決めなきゃだめだよ?」

「え、あ…、そうじゃなくて」


いまいち噛み合ってない会話を繋ぎ合わせるように雷蔵は言葉を紡いだ。


「三郎や兵助は計算して答えを出すし、ハチや勘右衛門はとりあえずどっちかに行けるけど、僕はどっちのやり方も出来ないだろ?」

「まぁ、雷蔵はそういう性格だね」

「だから皆がくれるアドバイスもあんまり当てにならないんだ」


でも、と続けた雷蔵と目があって、どちらからともなく笑った。ふふふ、とひとしきり笑って、それでね、と切り出した雷蔵は何となしに嬉しそうに見える。


「なまえのアドバイスは猶予をくれるんだ」

「猶予?」

「なんて言えばいいのかな、うーん…」

「んー…?」

「例えば、左右の別れ道があったとしたら、一歩後ろに下がって全体を見渡すことを教えてくれるのがなまえの言葉にだなぁって」


はにかむような笑顔でそう言われてしまえば、もう赤くなるしかなかった。





悩みぐせ
(ちょっとくらいなら迷っていいわ)





「ああでも」

「?」

「明日世界が終わるとしても、僕はなまえの側に居るよ」


なまえのことで悩むことなんて一つもないもの。結局は男前な雷蔵にわたしが出来ることなんてお願いしますと頭を下げるくらいだった。





 
雷蔵はほのぼの系の夢がいいなぁと思いつつ、全く甘くできなかったので反省。まとまりもないのでさらに反省。粗品ですがるりたんに送りつけます((((;゜Д゜)))
 



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