朝、まだ日も差していない時刻に目が開いた。

薄く白む空をしばらくぼんやりと眺めて、はっきりとしてきたときには目の前にある黒く長い髪がシーツの上に散らばっていたのが見える。
それが愛おしい妻の髪であることを思いだし、寝ぼけた思考のまま彼女の寝顔を見つめればすぐにでもその瞼の下にある金色の瞳に映りたくなった。


「シャ、ル…」


冬の乾燥した空気にさらされたまま喉を通った声はきちんとした音にはならなかった。名前を呼ぼうにも声が形にしてくれなかった。
だが、深く閉じた彼女の瞳、ゆっくりと寝息をたてる唇、
俺の寝巻きを掴んだまま離さない手、そして伝わる温かな体温に声をかけるのをやめた。
彼女は起こしてくれればよかったのに、と怒るだろうが今は眠らせてあげたい。怒られるというか、彼女に叱られるのも俺は嬉しいと思ってしまうほどだからいい。

俺の腕を枕にして眠る彼女を見て、自然と笑みがこぼれた。優しく絡めるように彼女の髪を撫でる。
ずっと触れることさえも叶わずにいた彼女。だけど今は俺の目の前にいる。俺の傍にいてくれる。そう誓ってくれた彼女はもう離れることはない。
10年ほど会えずにいたのに彼女は変わらずに、俺を待ち続けそして想い続けてくれた。そして彼女は三つの宝物を俺にくれたのだ。


「ありがとう、シャルル。」


優しい彼女、優しい時間、愛おしい宝物、愛おしい恋心、
すべてを包むように俺は再び腕の中の愛おしさを抱きしめた。







朝日が目をつついた気がしてゆっくりとまぶたをあげる。

直接日光は入ってこなかったけど、部屋に差し込んだ明るい光がいっぱいに広がった。
ぼんやりと潤ける視界がはっきりとし、目に入ったのは薄紫色のウェーブのかかった髪だった。
それが愛おしい伴侶のものであるのを思いだし、寝ぼけた思考のまま彼の寝顔を見つめていたらすぐにでもその閉じた瞼の下にある紅玉の瞳に会いたくなった。


「ガ…ティ…。」


冬の乾燥した空気に長く晒された喉はきちんとした音を声とするのを許さなかった。彼の名を呼ぼうにも唄にはなってくれなかった。
けれど、長く伏せた彼のまつ毛、ゆっくりと息を吐く口、
私の髪に絡める様に置く長い指、そして包み込む暖かな体温に声をかけるのをやめた。
彼は私を起こしてくれなかったみたいで、太陽は地平線から離れてしまっている。怒ろうかなと思ったけど今日は何も無かったはずだから今回は許してあげることにした。

私を抱きしめて眠る彼を見て、自然と笑みがこぼれた。優しく触れるように彼の頬を撫でる。
ずっと触れることさえも叶わずにいた彼。だけど今は私の目の前にいる。私の傍にいてくれる。そう誓ってくれた彼はもう私を離してくれることはない。
10年ほど会えずにいたのに彼は変わらずに、私を追い続け、想い続けてくれた。そして彼は三つの宝物を私に授けてくれたのだ。


「ありがとう、ガルティア。」


優しい彼、優しい時間、愛おしい宝物、愛おしい恋心、
すべてに縋り付くように私は再び包み込んでくる愛おしさに沈んだ。





−−−−−−−−−
いい夫婦の日!!間に合わなかった!!
文章自体は丁度59分に書き終わったんで一応セーフですよ!!
久しぶりに書く&初めて書くキャラだったのでどんな文になってても…
はい、仕方ないんです…(´・ω・`)

とりあえず湖百合はこの白世代夫婦が大好きです。
考えててすごく楽しいです。
ついでに三つの宝物は二人の子供です。
とりあえずいい夫婦の日は消化したぞ!!!ヽ(*´∀`)ノ

2012/11/23





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