「ねぇ、そっちのシュガーポットとってくれない?」

真っ白な陶器を指差せば、アルは無言のままそれを掴みシエラの前に置いてから蓋を取った。

「アルのにもいれる?」
「……いれなくていい」
「えー、昔は甘いの好きだったのにね」

ティースプーンを摘まみ、さらさらと白を赤色の紅茶に落としながらシエラは感慨深く呟いた。
そして何かを思い出したのか、フフ、と小さく笑う。

「ここに来たばかりの頃は片手でマグが持てなくて、一つのスープカップを二人で持ったね。
すぐになくなっちゃって、サラ様に何度も紅茶を注いでもらって……」

懐かしいな、とスプーンをシュガーに差し込みながらシエラは長い睫毛を伏せた。幼い頃の記憶が映された紫色の瞳には、たくさんの煌めきと少しの哀愁。

「今度は私たちが淹れてあげようね」

目の前にあるのは二つのマグカップ。


***
Twitterで指定されたキャラのほのぼのssを書くというものをやりまして。
シエラアルのキャラはものっそいブレブレなのでなんとかしたい。双子好きです。
このはさんありがとうございました!

2014/4/18





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