「まあ仕方ないからいいよ、頑張ってね仕事」

半ば諦めたように返事をするのはもう何度目だろうか。頭では、ちゃんと彼の仕事も必要性も分かっている。それでも楽しみにしていたデートが無しになるのはやはり、その分だけダメージはデカい。学校も違うからすぐに会うなんてことは出来ないし、忙しい公平に電話するのもはばかられる。恋の寿命は約3年と聞くが、付き合って3年目、もう潮時と言うことなのだろうか。


「本当悪い。今度埋め合わせするから」
「平気平気。あ、でも記念日のデートは行きたい!」
「分かってる。俺もだし、絶対休みもぎ取るから」
「それならば許そう。感謝したまえフハハ」
「何キャラだよお前…」


そんなやりとりをしたのは、二ヶ月前のデートをドタキャンされたときだっけ。あーあーもう考えるのなんてやめた。公平も楽しみにしてるって言ってたのに、休みもぎ取るって言ってたから、すっごく楽しみにして2週間前から新しい服買って、いろいろ準備してたのに。なのに、さっき言われたのはこの言葉だ。

「ホンット悪い!!記念日の5日前から数週間、会えねえことになっちまった!」
「え、会えないってボーダー?休めないの?」
「任務…みたいな感じなんだけど…ごめん」
「じゃあさ、ちょっと電話するとかなら出来ない?」
「…悪い」

さすがに、私の我慢も限界だった。裏切られた気持ちがあったのかもしれない。こんなこと、言っちゃいけないって分かってた。でも、言ってしまったのである。

「公平もどうせ仕事忙しいんだったら、もとから約束なんてしなくて良いのに。期待ばっかりしてバカみたい」

絶対に言いたくはなかったこの言葉。町を守るために戦うボーダーは、一般人には理解しがたいことも多い。急な任務入ることもあるしおまえを優先はできない、って言った公平に、それでもいいよっていったのは私だった。それなのに、あの言葉は公平に対する裏切りにほかならない。
そして売り言葉に買い言葉、カッとなった公平も言い返してきて、何も解決するまもなく喧嘩別れしてきてしまった。

…それが、2週間前のこと。

あれから、公平には一度も連絡していない。一度、たしか喧嘩した2日後あたりに電話があったけどそのまま無視してしまった。それから一切の連絡はない。学校も違うから会うこともない。

喧嘩別れの自然消滅、その言葉だけが脳内を占める。でも、それも仕方ないかもしれない、なんて考えてしまう。そりゃそうだろう、学校にボーダー、それだけでも大変だというのに、加えて休みにはめんどくさい彼女のお守りまであるなんて、そりゃ飽きもする。
友達にも「そりゃ自然消滅で終わりだねー、新しい彼氏見つけなさいな」とジュース奢られる始末だ。

それでも諦められない私は相当頑固で、こんなのに惚れられた公平に同情せざるを得ないのだ。

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中編。目標は5〜6話で完結。


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