「名字、黒板は終わった」
「えっごめん!奈良坂くんありがとう、ちょっと待ってて!」

あれから、また1週間たった。公平からの連絡は一切ない。一度だけ、連絡をしてみた物の、全く反応はない始末だ。
って、いまはそんなこと話してる場合じゃないか。

「…あー、今日、休みいたっけ」
「いない。それで終わりか?出しに行くぞ」
「ありがと。オッケー、お待たせしました」

年に数回、回ってくる週番。面倒な時期に当たってしまった自分の運を恨みつつも、まあ相方が奈良坂くんだから良いか、と思う気持ちもある。今日から5日間なんてあっというまだし、授業時々サボってるようだけど、基本的にまじめだし仕事もしてくれてるし。

職員室に出しに行くと、ちょうどこれまた最悪なタイミングで担任に仕事を押しつけられてしまった。終わったら帰っていい、って言われたけど、コレ10分やそこらじゃ終わらないよ先生。

教室に戻り、パチンパチンとプリントを閉じる。無言の中は何とも気まずく、とは言っても喋ってるのはほぼ私で、毎日同じような生活しかしていないわたしは、喋るなんてすぐに底をつく。そして出てきたのは、公平の愚痴…というか相談。

「もし奈良坂くんなら彼女から何週間も音沙汰無かったらどうする?」
「俺はそういうのはよく分からないが、自然消滅ってやつじゃないのか?」
「やっぱりそうなるよねえ…」
「名字から連絡はしないのか?」
「しない。いや、一回したんだけどラインの既読つかないし、携帯も電源切られてるみたいでさ。それなのに何回も連絡できるほど肝は据わってないんだよね」

はーあ、と机に突っ伏する。一応手は動かしながらだけど、見えないから曲がってるかも。コレをとる誰か、ごめんね。最後くらい許しておくれ。

「そういえば奈良坂くん、今日予定とかなかった?」
「大丈夫だ。今日の任務は七時からだし、ほかに用事はない。ゆっくりしてても余裕で間に合う」
「そっかならよかっ…え?任務?」

このあいだも聞いたその単語。もしかして、と背中に冷や汗を流しながら「奈良坂くんって…あの、ボーダー、の方でいらっしゃる…?」と訪ねると、「今まで知らなかったのか」と冷静に返されてしまった。うっそーん。

「そんなに驚くことか?」
「いやいや、驚くに決まってますよ…そりゃ…。」
「よく授業も抜けているだろう」
「いやあその…怒らないでね…?」
「…?ああ」
「真面目な顔してサボリ魔かよって思ってました」

そういうと、おまえは実はバカなのか?と呆れられてしまった。いやあ申し訳ないその通りです。頬をかきながら、ようやく終わったプリントたちを纏める。あとは職員室に出しに行くだけだ。そしたら今日は帰って寝よう。

「じゃあ行くか」
「あいあいさー」


◇◇◇

「じゃあまた明日ね」
「ああ、気を付けて帰れよ」

ばいばーい、と手を振って、学校を出る。どうやら奈良坂くんはこのままボーダー基地へ行くらしく、私とは真逆の道を歩いていった。
バッグの中でゆれるのは、先生がご苦労だったなってくれたたけのこの里。私たちの仕事は百数十円か、と思ったのは一瞬で、奈良坂くんが嬉しそうにしていたから、先生はこれをねらったのかもしれない。それならまあ、仕方ないかと思わざるを得ないではないか。

友達のラインを返すついでに公平のトークを見てみたが、…まだ、なんの進展もなかった。せめて既読くらい付けてよ、ばーか。

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私が書くと、相手のキャラが全く出てこないという事に気がついたけど、仕方ないって思ってやってください私は書いてて楽しいんです。


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