2人の夜
〜定位置の二人の日常〜
in evening side by 夜宵
お風呂上がり。濡れた髪を適当に拭きながらリビングのソファで買ってきたばかりの本を読む。早く続きが読みたかったんだよね。
すると、洗い物をしていた日和がすごい勢いで本を奪ってきた。
「ひ、日和?なに?」
「なに?じゃない!ちゃんと髪は乾かしなさいっていつも言ってるじゃん!ドライヤー持ってきて!ちゃんとやって!!」
びしっと洗面所を指差す日和にめんどくさーい、と本音を言うと鬼のような形相?でにらまれた。
「ただでさえ、夜宵はロングで痛みやすいんだよ?濡れたまま放置なんて痛めて下さいって言ってるようなものじゃない!それに風邪引いたらどうすんの!?」
普通は、私が日和にお説教する方で逆なんだけど、こういう事については別。日和の好きな人(とこぞの暗殺部隊の隊長さんだよ)が髪サラサラだからなのだろうけど、異様に髪についてうるさいんだ。
本人ショートだけど。まぁ、以前それについて聞いたら「部活で邪魔になるからロングは無理だし嫌。鬱陶しいじゃん」っていわれたっけ。
「いーよ、私は日和と違って髪に執着ないし。風邪も引かないもん」
そう言うとじとーっと、そう言って風邪引いたの誰だよって目が訴えてくる。う、うるさいなぁ。ちょっと鼻声だっただけなのに、日和が大袈裟すぎるんだよ。
「たく…。ほら、後ろ向いて」
そういう日和の手にはドライヤーと、ブラシ。んー、と返事をして後ろを向く。すると、ブラシでとかしながら髪の半分くらいをまとめられる。下の方からだんだんと暖かい風を感じる。根元から毛先へ、優しく。
「これちゃんとやれば寝癖もつかないのに…」
日和はそう言うけどね、私はポニーテールだから多少の寝癖はカバーできるの。ひどかったらお団子にするし。それに、なんだかんだ言って日和がやってくれる日が多いし。
「そんなに甘えるんじゃありませーん。もうやんないからね、自分でやってよね」
「ひーよーりぃー、そんな事いわないでー」
はい完成、と言われ髪をさわるといつも以上にサラサラつやつやのそれ。…お見逸れします。
「あ、日和、洗い物は?」
「…あ」
「ちょ、日和!!何やってんのあんた馬鹿じゃないの何考えてんの!!?」
「夜宵怖い!」
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日和は風邪引いたときとかものすごっく過保護になる。
そりゃあもう夜宵が呆れるほどに。
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