明日はもっと  


家族内のじゃんけんに見事一人負けし、近くのスーパーまでお菓子を買いに来た。まあ、コンビニでも良いんだけど、距離は同じくらいだし値段はこっちの方が安いから、ここに来る回数は圧倒的に多い。

んー、ポテチとチョコ、あとは適当にスナック買ってけば良いかなぁ。中学生がお菓子コーナーでかれこれ何分も仁王立ちしているのはおかしな図かもしれない。気にしないけど。どれにしようか、と思案していると、横から小さい手が麦チョコをとる。見慣れた、というか私が毎日着ているものと同じ並盛中の制服に顔を上げると、こっちはまだ、見慣れていない子。うちのクラスに転校してきた、クロームちゃんだ。

「クロームちゃん?」
「え?…あ、名字さん…?」
「そうそう。偶然だね、お買い物?」

こくり、と頷く彼女は人見知りなのか、おとなしい性格なのか、はたまた両方なのか。でもやっぱり…うん 。

「クロームちゃんってさ」

唐突に、ちょっとまじめな顔して私が言うから少し焦るクロームちゃん。そう言うとこもだけど…

「え…?」
「まあ、ずっと思ってた事なんだけど可愛いよね」
「…え?」

スーパーのお菓子売場で話す様な事ではなのは分かるんだけど、言いたくなったらしょうがないよね。うん。…でも、場所変えた方が良いかな?

「歩きながら話さない?まだ買うものある?」
「ううん、もう終わり…」
「じゃ、お会計行こっか」

麦チョコだけ買いに来たのかこの子は。こんなだからほっそいんじゃ…。そう思いながらクロームちゃんのもつそれを私のカゴの中に入れる。

「名字さん…?」
「一緒に出した方が楽だから。いこー!」

半ば無理矢理だけど、嫌がってるわけではないし、いいよね。

◇◇◇

会計を終え、私達が来たのはスーパーの一角にある休憩スペース。ここなら、静かにお話しできるから。

「あ、さっきの話だけどさー。クロームちゃん可愛いし、女の子らしいじゃん?すごいうらやましいよ」
「名字さんも十分だと思う…。この前くれたスイートポテト美味しかった」
「え、覚えてくれてたの?うわ、うれしっ」

何回か、暇なときに作ってクラスの子とかに配っていたそれ。まさか覚えていてくれたとは。

「すごくおいしかったから」

そういってふわりと笑うクロームちゃんに、思わず抱きついてしまった。

「うわぁあ、クロームちゃん可愛すぎるよ!なんなの、何食べたらそんなになれるのぉお!!」

耳まで赤くして、なす術なくって感じのクロームちゃん。なんつうかわいさ。

「名字さん、また作って貰える…?」
「うん!」

ぎゅー、の体勢のまま会話する。だってかわい過ぎるもん!あー、妹に欲しい。

ふと、時計を見て「時間…」と呟くクロームちゃん。

「帰る?」
「…うん、ごめんね」
「大丈夫だよ!あ、また明日ね!」
「うん、…名前ちゃん、ばいばい」

え、と言う間もなく走っていくクロームちゃん。最後のは結構来たぞ、何であんなに可愛いの…。

とりあえず、家に帰ったらスイートポテトつくろう。それで、もっと仲良くなるんだ。


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