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□コイバナしようか




「ねぇ、立向居くんて好きな子居ないの?」

新技を獲とくする為に始めた特訓だが今や日課になっている朝練の後片付けをしていると、いきなり問い掛けられた。
ちなみに後片付けは当番制で、今日は俺と音無さんの二人だ。

「………………………え!!!?」
その思いもよらない話題に思わず大きい声を出してしまった。
「な、なななな!?何…え、なん何で!?」
一気に顔に熱が集中する。
練習でかいたのとはまた違う汗が全身から吹き出てきそうだ。

「え?あ、と…ごめんね深い意味はないんだけど……もしかして男の子ってこういう話、しない…かな?」
恋バナとか…と、別段変わった風もなく春奈は言う。
「え……ああ…、うん…俺はしない、かな……はは」
一瞬、もしかしたらもしかするからそんな事を聞かれたのか…と期待したのだが…そうか、ただの女の子がよくする恋バナか……と、安堵と共に落胆した。

「そっかー…で?好きな子は?」
これでこの話は終わりか…と思ったのもつかの間、そんなのお構いなしと言った風にさっきよりも目を輝かせてずいっと問い掛けてきた。
うっ、か…顔が近い…か、可愛いな…
「す好きな子…は…い、居るよ」
心臓がドキドキと脈を打ち、顔がさっきよりも熱い気がする。
だって本人を目の前に好きな人が居るのを公言してるのだから…
そう…俺は音無さんが好きだ。
初めて会った時からずっと…今ではあの時と比べモノにならないくらい好きで好きでたまらない。

「へー…ね、どんな子?同じ学校の人??」
まさかの質問攻め。
ど、どうしよう…この様子だともしかしたらの期待はなさそうだし…だけど他に好きな人が居ると勘違いされるのも嫌だ……
だけど好きな人がいると公言してしまったのだから答えないのもおかしい…

「あ…や、学校は違うけど…」
「ふーん?同じ歳?どうゆう子?可愛い?」
続く質問ラッシュ。
どうしよう、このままだと完全に勘違いされてしまいそうだな…
「うん…同じ歳だよ。どういう…えーと…め、眼鏡かけてて…元気で明るくって…すごいか…可愛い、子…かな。」
言ってから気付いたが、音無さんは眼鏡…かけてるけどかけてない…のか?
と、さりげなく彼女の特徴を話す。

「……告白しないの?」

「……………え!!!?」
その問い掛けに本日2度目となる大きな声を上げてしまった。

「…立向居くんなら結構脈あると思うけどなあ」
グランドに転がる最後のサッカーボールをカゴに積み上げながら音無さんは言うが、脈なんて…

「…ないよ。だって…勘違いされてるみたいだし…」
「…何を?」
「…好きな人…別に居るって…」

「……してないよ?」

「!ほ、ホントに!?」
勢いよく顔を上げると音無さんと視線がぶつかる。
あれ…?ちょっと待て…どうして音無さんが勘違いしてないなんて言ったんだろう……
すると彼女はニコッと笑い「むしろ、今確信出来た。」と言った…

「……あ!?」

その言葉の意味を理解し、真っ赤になる俺に音無さんは向き直り背筋を正して「はい。どうぞ。」と言った。

ドキドキと早鐘の様に脈打つ心臓を落ち着かせる様に深呼吸を一つ。

「お、俺!おと…音無さんがすっ…好きです!!!!」


「うん。私も、立向居くんがだいすきです」




※※※※あとがき※※※※

告白立春。その1。
たちはるの告白文はいくつかあるので後々仕上げたら順に上げて行きます。
どれも似たり寄ったりですが……OTZ

立向居は片想いだと思ってたけど、実は春奈は気付いてていつ告白してくれるのか待ってるんだけど、なかなか告白してくれないから焦れて自分で促しちゃう……って言う、結局は両想いな二人。

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