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□桜色ひらひら




卒業式に校門前で告白
なんともベタだがキャプテンらしい真っ直ぐな告白だと思った。
距離がある為声は聞き取れないが、その後の反応でいい返事だったのだと一目でわかった。


「…やっとくっつきましたねー」
長かったー、と校門前に立つ大きな桜の木の陰から二人をこっそりがっつり見守っていた春奈が深いため息と共に呟いた。
「キャプテンは恋愛には鈍感だからねェ」
そうでなかったらもっと早くこうなっていたのにね、と彼女同様に木の陰から事の行く末を見ていた僕は、一仕事終えたと言わんばかりのその場にしゃがみ込む春奈に言う。
だが彼女は少しだけ眉を下げて
「まぁ…私としては木野先輩も夏未さんも冬花さんも応援していたので複雑ですけど…」
と、漏らした。
その言葉に苦笑いして二人を再び見る。
「だけど、よかった…よね」
向けた視線の先には、目が合っては照れ、はにかみ合う…を繰り返す二人がいた。
そんな初々しくて微笑ましい二人を見ていると、心からそう思えた。
「……ふふ、そうですね」
よかった…と彼女も微笑んだ。その柔らかな春の日差しの様な表情を見て、改めて彼女は"春奈"という名前が本当によく似合う春のような女の子だと思った。
元気で行動派な彼女は時には「やかまし」なんて言われる事もあるけれど、彼女のその明るさや笑顔…全てに僕はいつでも救われてきた。
僕は彼女が好きだ。
今日久しぶりに彼女に会い、改めてそれを再確認した……
自分もいつか言えるだろうか…先程のキャプテンのように……
「…そろそろ戻ろうか?鬼道くん達もいきなり居なくなって心配してるんじゃない?」
こそこそと何処かへ向かう春奈を追いかけるのに夢中ですっかり忘れていたが、二人共打ち上げの場所を決めている最中に何も言わずに抜け出て来てしまったのだ。

だが春奈は何か考え込んでいるようだった。
「…春奈さん?」
「……決めた!」
いきなりバッと立ち上がった。
突然でびっくりしたが、何やら決めたらしい。
「な…何を?」
決意を表にした春奈に問い掛けると、ぐっと拳を握りしめて…
「私も告白します!!」
と、爆弾発言。
「……えぇ!?って…は、春奈さん…て好きな人居たの…?」
自分の気持ちを再確認し、いつか告白出来たらいい…なんて思っていた矢先のいきなりの失恋に動揺せざるを得なかった…
すると春奈は上目使いでこちらと視線を合わせ、にっと笑った。
あぁ、やっぱり可愛いな…と、ついどきっとする。
知り合った一年半程前はそれほど変わらなかった身長もさすがに違いが出て、今では春奈の目線の高さに自分の肩がある程に差がある。

しばらく見つめ合ったまま返答を待つ…しかし春奈は「よし!」と一言だけ発し、自分の横を通って皆の元に帰る方向に歩き出す。
さっきの答えは聞けないのか……、と仕方なく後を追って歩き出す。
そうか…好きな人、居たのか…と一人もやもやしていると、急に春奈が踵を返した。

「…?春奈さん?」

「吹雪さん、私……」

「うん?」

「……好きです、吹雪さんが。」

さぁ…っと春風が髪をすき、桜の花びらが舞い散る。
ひらひら舞う淡いピンクは彼女の藍色の髪に本当によく栄える…そんな中、そう言ってはにかむ彼女は…正しく僕にとって春そのものだと思う……
そんな事を考えていたら、彼女の言葉の意味を理解するのに少し時間がかかってしまったが……理解した途端、顔に熱が篭るのを感じた。
なんて答えよう…と言葉に詰まる僕を余所に…
「覚悟して下さいね!私、遠距離だってどんどんアピールしちゃうんですから!」
と、頬をほんのり桜色に染めニッと笑い、再び皆の居るグランドに向かい歩き出した。
「…ねぇ春奈さん、それ…必要ないかもしれない、よ?」
颯爽とグランドに向かう彼女の後ろ姿にそう言うと、足を止めキョトンとした顔でこちらを振り向いた。
「え?」
すぅ…と春の風を吸い込み
「僕も好きだよ。春奈さんが。」
それだけ言うと僕同様にワンテンポ置いて言葉の意味を理解したのか、彼女の頬は桜色から真っ赤に変わった。
「………へ…ッ!?」
予想だにしない返答だったのか、先程の強気な彼女は何処へやら…と言わんばかりに眉を下げなんだか泣き出しそうな顔で口をぱくぱくさせていた。
そんな彼女を見てまた、可愛いなあ…なんて思い、真っ赤な顔で目を右往左往させている彼女の手を握り、桜吹雪の中を歩き出した。
そのまま数歩歩くと春奈も控えめに繋いだ手を握り返した。
今、きっと二人の顔はこの満開の桜よりも紅く色付いているに違いない。







そんな幸せな気分の中、一つ浮かんだ不安要素。
「鬼道くん、どんな顔するかなあ」
そう呟くと隣の春奈が立ち止まり、ゆっくりと苦笑した。

…とりあえず、皇帝ペンギンくらいは覚悟しておくべきだろうか…







…………あとがき…………

…………うーん…ぐだぐだですね……
相変わらず言い回しがくどい…し解りづらいですね……すみません
文才が欲しい切実に…ッ

シチュエーションは卒業式の親善試合の後、キャプテンが告るのを覗き見してる二人です。
キャプテンの告白相手は………まあご想像にお任せします
吹春は桜が似合うと思うんだ。
色合いが…

つかまじで文才欲しいよ

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