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□また明日もその次も





吹雪視点(吹→春)
旧拍手文2です。
「競争率の高い君(風春)」の吹春Verになってます。




雷門中のサッカー部マネージャーで現イナズマジャパンの専属マネージャー、音無春奈さん。
学年は一つ下で苗字は違うけれど、あの鬼道くんの妹。
はきはきしていて感情に合わせて表情がころころとよく変わる、笑顔が似合う僕の想い人。
そんな彼女はライバルが多い。ほら、早速一人。
ベンチで何やら熱心に手に持つボードと睨めっこしている春奈さんに近付く鮮やかな赤色。
遠くて会話は聞こえないけれど、ヒロトくんのあの感じはまた何処か傷を作ったのかな?あ、隣座った。今日は肘かあ。
最近ちょっとした傷を作っては春奈さんに手当てして貰ってるけど、ヒロトくんのアレは治療が目的じゃないのは明白だ。
まあ、僕も人の事言えないけど。
「春奈さーん、ごめんアイシング貸して貰える?」
ヒロトくんがその場を離れたのを見送ってから春奈さんにそう言って近付くとどうしたんですか?と首を傾げる。そんな仕草も可愛い。
「ちょっと足首捻っちゃって…あんまり痛くはないんだけど一応冷やしとこうかなと思って…」
ホントは嘘だけど、そう言えば案の定心配そうに眉を下げる春奈さん。
「大丈夫ですか!?ダメですよちゃんと処置しなくちゃ…見せて下さい!」
ああ、嘘ついてそんな顔させてごめんね、とさすがに胸が痛み大丈夫だよと苦笑すれば春奈さんは「ダメです!吹雪さん怪我治ったばかりなんですから」と瞳を潤ませる。
うん。そんな顔されるとついつい下心が働いちゃうな。
「あ、やっぱりちょっと痛いかも…春奈さん肩貸してくれる?」
「はい!どうぞ寄り掛かって下さい」
その言葉に甘えて彼女の細い肩に腕を回す。
ふわりと揺れる髪からは甘い香りがして隣に視線を移せば少し頬を赤く染めた春奈さんと目が合う。
何とも無垢な瞳で大丈夫ですか?もっと体重かけていいですからね?と尋ねてくるものだからついこっちまで赤面してしまう。
「あ、うん大丈夫だよ、ありがとう」
ていうか、これ以上体重かけたら春奈さん潰れちゃいそうだし、僕が持たない気がするよ。

僕が春奈さんから離れたその後も彼女の周りには幾人もがたいした用事も無しに近付く。立向居くん、佐久間くん、不動くん、豪炎寺くん…それを遠目で見ながらため息をつく。
競争率高いよなあ…。
そして僕らのその熱い好意に気付いてないのは春奈さん本人くらいだ。
もう一度深いため息をつきながらじっと彼女を見つめていると、ふいにベンチに座って居た春奈さんは立ち上がり何か考え込んでいる空色へと近付く。
「風丸せーんぱい」
「おと、音無!?」
ああ、まだいたライバル。
考え事中に急に春奈さんに声を掛けられて飛び上がった風丸くん。
僕達と違って風丸くんはあからさまに春奈さんに近付きはしない。でも、本人は隠してる気かもしれないけど、バレバレなんだよね。
ああ、何か楽しげに話してるなあ。春奈さんが差し出したドリンクのボトルを受け取る風丸くんのあの絞まりのない顔…。だけど突き刺す様ないくつもの視線には気付いてるみたいだ。
春奈さんはやっぱりそんなのに気付くはずもなくニコニコと風丸くんに笑い掛けている。
そんな光景を眺め僕も風丸くんに視線を突き刺しつつ、とりあえず後ろでずっと僕に殺気を放ってる鬼道くんを何とかしたい…さっき春奈さんの肩を借りたのが気に障ったのか。嘘ついたのもバレてるかな、これは。

まあ、ライバルが何人居ようと、誰であろうと…とっても恐いお兄さんが障害だろうと、僕は負ける気はないけどね。
さて、次はどんな用事で春奈さんに話かけようかな。



title by コランダム



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