inzm | ナノ

□人は爆発すると若返ったり戻ったりするらしい




※24歳の不動と13歳の春奈で10年バズーカパロディっぽいもの。(5分じゃ戻らない)
何でもアリな方のみどうぞ。











家に帰るとそこには、ショートボブに赤縁メガネを頭に乗せ…それに制服という、何とも懐かしい中学生の姿をした同棲中の彼女がいた。


あれ、何これ夢か?
それともあいつ親戚にこんなそっくりな女の子がいたのか?
親戚がいるなんて聞いた事がなかったけど…ああ、音無の家の親戚か?
それも聞いた事なかったけど…それにしても似過ぎだなこれは。
「あ、あの…」
俺が思考をフル回転させていると、目の前の少女は恐る恐る言葉を発した。
ああ、声までそっくりだ。まるであいつがそのまま中学生に戻ったみたいだな。
「ここが私の家だって…円堂さんが…」
「…は?」
円堂?何であいつが?
「あの、私…音無春奈です」
「……は?」



「円堂おおおおおおおおお!!!!」
先程自分を音無春奈だと名乗った中学生の頃の春奈と瓜二つな少女を左脇に抱えて、まだ部活中であろう雷門中に走った。グランドまで全速力で。
「おー、どうしたんだ?そんなに慌てて」
昔と変わらない陽気な声で円堂は俺を出迎えた。
「どうしたは俺が聞きてぇんだよぉお!!!!何だこれ!?どうなってる!?こいつ何で…」
「あー…。懐かしいよな!その姿の音無」
抱えた少女を示して一息にそう言う俺に円堂は一瞬だけ現実逃避した目をした後、何でもないと言わんばかりにいつもの調子で笑う。
ちっげえよ!懐かしいとかそんなんどうだっていいんだよ懐かしいけど!
「いや…俺もよくはわかんないけどさ、急に音無が爆発したと思ったら煙ん中に中学生の音無がいてさー」
「ば…っ!?」
爆発!?何だそりゃ!?
爆発したら中学生になるとか…あいつそんな機能がついてたのか!?いや能力?
って、そんなわけないだろ!と頭の中で一人ボケとツッコミをかまして白くなって行く頭で現実逃避を試みるも、続く円堂の言葉で一瞬にして現実に引き戻される。
「で、中身もまんま中学生の音無だし…どうしたらいいかわかんなかったからとりあえず不動に任せればいいかと…」
「お…っ俺だってわけわかんねえよ!何だそ…」
「え!!!!!?」
俺が困惑する中、円堂とのやり取りを黙って聞いていた脇に抱えた少女から声が上がった。
「これ不動さんなんですか!?」
俺を見上げ目を見開いて驚愕する幼い春奈。…って、ちょっと待て。
「これって何だよこれって!!!!」
「ああ、昔の音無が知ってる不動じゃないよな確かに」
ははは、と能天気に笑う円堂に俺のコメカミの血管が切れそうになった。
「笑ってる場合か!どうすんだよこれ!?」
「どうするって…しばらくすれば戻るんじゃないか?」
「んな…」

「あ、あの…」
お話し中のところすみませんが…と抱えた少女が再び口を開いた。
「そろそろ降ろして貰ってもいいですか…?」
困った様に眉を下げる少女に抱えたままだった事に気付き、「あ…ああ悪い」と謝りながらぶら下がる足を地面に着地させた。
「…てか、鬼道呼べよ!何処行ったんだあいつ」
「いや、鬼道は駄目だ…取り乱して大変な事になるぞ」
危険だ…と、円堂は珍しくシリアスな顔付きでぼそりと言う。
ああ、確かに…最愛の妹が突然中学生に若返ったなんてパニックで多分今度はあいつの脳内が爆発するに違いない。
あいつ頭堅いからなあ…。

「…つーか待て、じゃあ春奈何処行ったんだよ」
「え?私ここにいますけど…」
ふとした疑問を円堂に投げかけると、隣にちょこんと立つ少女が不思議そうに首を傾げて挙手をした。
「あ?あー…いや、そうじゃなくてな?えーとその…春奈じゃなくて、いや春奈なんだけどそうじゃなくて…」
あーもう!ややこしいな畜生!!!!
「とりあえずさ、不動。音無と家に帰ってろよ」
「は!?いや、ちょっとまっ…」
「ここ居るとほら…部員達が落ち着かないみたいだからさ」
円堂の目線を辿り、ふと周りを見ればそわそわ感を隠し切れない部員が数名、こちらの様子を伺っている。
「な?」
「…そのようで…」
はあ、とため息を一つ吐き出して少女の手を取る。
「…仕方ねぇ、春奈!行くぞ」
「え、あ…はい?」
春奈はきょとんとした顔で手を引かれるがまま歩いた。

「…あの」
しばらく無言のまま家路への道を歩くと、繋いだ手を不思議そうに見つめながら春奈は口を開いた。
「あ?何だよ」
「私、不動さんと住んでるんですか?」
「……」
言われて気付いた。
あれ?コイツはいつの音無春奈だ?
俺と付き合う前か…後か…。それによってはこれは所謂ネタバレなんじゃないか?
「ああー…いや、あのな?なんつーかそれは…」
「それに、名前呼びなんですね。さっき少しドキドキしちゃいました」
えへへ、と頬を紅潮させて笑う少女に不覚にもときめく。ああくそ、可愛いなまったく。

「春…」
言いかけた所で、突然少女の身体からボンッと音がする程の煙が上がった。
「ば…っ!?」
爆発した!?
冗談かと思ってたが、円堂の言ってた通り確かに爆発した。
呆然と立ちすくむ俺の目の前でもくもくと立ち込める煙の中には人影。
「おい!?春奈…!?」
はっとして煙を払う様に中の人影に手を伸ばして腕を引くと、中からはショートボブではなくミディアムボブのウェーブヘアーに頭には赤縁メガネ…ラフなスーツ姿の見慣れた人物が現れた。
「あれ?不動さん?」
ぱちぱちと目を瞬かせて首を傾げるのは間違いない。中学生ではなく23歳の春奈だ。
何だか一気に気が緩みその場に座り込みたいくらいに力が抜けた。
春奈はいつもの明るい声で、どうしたんですか?と、うなだれた俺の顔を覗き込む。
「どうしたって、お前なあ………まあ、いーや…もう」
「えー?何ですかそれ」
「いーよ。今日はもう…とりあえず帰ろうぜ…疲れた…」
そう手を差し出すと、春奈はきょとんとその手を見つめ、くすりと小さく笑った。
「…?何だよ」
「ふふ、実は私…さっきまで昔の不動さんと居たんですって言ったら、信じます?」
「…はあ?」
「可愛かったですよー。何かドキドキしちゃいました。夢かもですけど」
えへへ、と頬をほんのり紅潮させて笑う春奈に「…俺も昔のお前にちょっとときめいたわ」と、ぽかんとした春奈の手を引いて歩き出した。
ちょっと所かかなりときめいた。今もだけど…と言うのは心中で呟いて。


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「あれ?私部活は!?」
「あー、円堂監督が帰れっつってたし大丈夫だろ」




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バズーカパロな感じで…
書けたら春奈サイドも書きたいなあ…



2011.9.29

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