思考の差異に関する考察

0604 タミデンの日SS

※タミデンではなくタミヤ+デンタクです。
※タミヤくんとの恋愛要素は皆無です。
※デンタク→ゼラな雰囲気です。
※友情色が強いです。






最初は、頭のいいやつだった。その次は、天才だった。そして今は、


「わかんねぇ」
「それ僕のこと??」
「あぁ」


勉強が好きで頭が良くて、でも周りからはメガネザルなんて呼ばれて、一人広げたノートの世界に浸っていたこいつを俺は知っていた。知っていた、というよりは見かけていたという方が正しいかもしれない。小学校の時は同じクラスじゃなかったから体育でも他の授業でも一緒になることはなくて、ただ見かける同級生といった風にしか思ってなかった。俺が改めてデンタクをちゃんと知ったのはゼラが転校して来た時だ。夏休みの自由研究で自作のロボットを披露していたゼラの席の周りに集まっていた奴らから少し離れたところで目を見開いて、まるで自分の求めていた人が現れたみたいな顔をしていた。そこからゼラと息が合い、ひかりクラブ、もとい光クラブにメンバー入りしたのはそう遅くはなかった。ノートに書き込まれた数字やら設計図やらと必死ににらめっこして増え続けたメンバーに的確な指示を出す。それに加えてゼラとも意見を交換しあって徐々にライチを作り上げていった。俺なら全員をまとめて指示を出しながらゼラと折り合いをつけるなんて無理だ、まずそんなに頭が良くない。それをこなすデンタクは凄い。と同時に訳が分からなかった。改めて分からないと思ったのは美の概念をどうライチにインプットするか、試行錯誤している時だった。


「感情を持たないライチに美しいとか綺麗とかを理解させるなんて、そんなことをデンタクに押し付けるなんてやっぱりゼラは馬鹿だぜ」
「そんなこと言ったらまた玉座下の檻に閉じ込められちゃうよ??」
「だってそうだろ??確かにゼラは大元を作り上げたかもしれない。けど細かいところの責任は全部デンタクだろ??ウェイトが違いすぎるじゃねぇか」
「確かに責任は伴うけど、それは同時に僕が望んだことであり、僕の夢でもあるんだ」
「夢??」
「ゼラは僕の理想の人なんだ」


橙色の蛍光灯の下で皆が作ってきた部品の最終チェックを行いながらデンタクはそう言った。汚れて黒くなっていたけど細くて綺麗な指を器用に動かしながら、その目にゼラに対する尊敬と羨望の光を輝かせるデンタクを、やっぱり俺は分からなかった。あんな頭はいいけどその頭のネジが2,3本ぶっ飛んでて何事も計画通りに行かないとすぐ取り乱すような奴を憧れだなんて、ついにデンタクも常川教の信者にでもなっちまったんじゃないかと思った。まぁ、先にゼラに陶酔したのはデンタクだろうけども。


「僕は知っての通り人と接するのが苦手だし、メガネザルなんて悪口言われても言い返せない。好きでロボットの設計図とかを描いてたりするけど、形に起こそうと思わなかったし、そんな実行力もなかった。でもゼラが転校して来て、あの夏休みの自由研究のロボットを見て、心から凄いと思ったんだ。僕と同じ考えを持って、それを実際に作り上げて、更には僕の意見も聞いてくれてそれを実物のものにまでしてくれたんだ。僕の夢を一つ叶えてくれたんだよ」


そう言って部品の最終チェックが終わったのか、机の上を片付け始めるデンタクの頬は少し赤くなっていた。あぁ、こいつはゼラの信者なんだ。電柱の防犯灯が切れかかっている暗い帰り道を二人並んで歩きながら、俺はやっぱり思った。



「やっぱりわかんねぇな」
「ふふ、僕もタミヤが分からないよ」
「あんなにゼラを慕う訳が」
「あんなにゼラに抗う訳が」




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