∴ 虚飾症 ※藤原とみんな。やや吹藤で後味悪い ※吹雪さんが色んな意味で酷い たとえば、道端に死骸が落ちていたとしよう。一匹の蝶だ。さて、キミならどうする? 太陽の少年は快活に笑いました。 「俺は日のよくあたる丘に連れてくぜ。太陽の光をいっぱい浴びれば生き返るかもしれないし!」 皇帝と呼ばれる男は言いました。 「俺は墓を建てよう。死者にも寝所は必要だ」 早熟な乙女は言いました。 「ボクは花を供えるよ。一人ぼっちは寂しいもの……」 「なら、私は訃報の手紙を書こうかしら」 と言ったのは金糸の娘。 どこかにきっと、帰りを待つ人がいるはずだから――静かな瞳は遠く明日を見つめます。 遥か彼方、空と同じ色をした少年は唄うように言いました。 「その手紙の配達は俺に任せてくれよな。架け橋だなんて素敵じゃないか」 それを聞いて、すかさず黒いコートの少年がため息を落とし、 「待て、宛先のわからんものをどう届けるつもりだ」 「そこは万丈目グループの出番ザウルス」 「総力をあげて、ご家族親戚友人知人を見つけるっす!」 やいのやいの、バンダナの少年と小柄な少年が連携プレーでたきつけました。 「ははは、万丈目くん責任重大だねぇ」 じゃれあうさなか、横槍を入れたのは亜麻色の男。腰に手をあて楽しそうに片目をつむります。 「師匠、からかわないでください!」 「そうよ兄さん。万丈目くんなら必ず見つけ出すわ。ね、万丈目くん」 「て、天上院くん……!」 少年の顔に想い人の期待を込めたまなざしがつき刺さります。たまらず、彼は頬を赤くしました。 「明日香先輩、完全に万丈目先輩の逃げ道を塞いだドン」 「さすがっすね……」 予想外の顛末に、囃し立てていた二人も思わず苦笑をもらします。図らずも初心な友人を追いつめてしまったお詫びとして、もしその時は雑用でも引き受けようか、と心に決めながら。 「……ところで、お前ならどうする」 沈黙を守っていた皇帝がゆっくりと口を開きました。問われた亜麻色の男は振り返り、 「僕かい?そうだなぁ、僕なら…………持ち帰って、標本にでもするよ」 ――僕は美しいものが好きだからね。 そう言って軽く肩を竦めました。 * 賑やかな輪からそっと外れ、おれは胸を押さえた。今まで影のように纏わりついていた息苦しさの正体をようやく悟り、自嘲する。 そうか。 おれを殺したのはお前だったんだな、吹雪。 |