―……! ―…ぃ…け! ―だ、す…! 「大輔っ!」 「!! え、あれ?」 突然の声に我に返った大輔。 辺りをきょろきょろ見渡すと数駅離れた公園なのが分かる 「あれ?じゃないだろ。急に黙り込んでどうしたんだ?」 「賢…さっき、変な声が聞こえなかったか?」 「変な声?……いいや、何も聞こえなかったよ。 聞こえるのは子どもたちの声ぐらいだ」 そう言い賢が指差す方向を見ると、子どもたちが楽しそうに鬼ごっこしていた。 風の音、水の音、鳥の声、人間の声―聞こえてくるのは日常そのものだ 「でも確かに聞こえたんだ」 「…それは助けを求めるものだったのか?」 「わかんねぇ。でも、冷たくて怖い声だった…」 大輔には何度か他人には聞こえない声が聞こえることがあった。 それを知る賢は疑うことをせずに大輔の言葉に耳を傾けた 「途切れ途切れだけど、闇の中とか、無力とか願うとか言ってた。声聞くだけでも身体の芯から凍えるみてぇで…」 「大丈夫だよ大輔、あとで光子郎さんに相談してみよう」 「うん…ごめんな?せっかく遊んでたのに、変なこと言ってよ」 「隠されるより何倍もマシだよ。一人で悩むよりみんなで悩め、そう約束しただろ?」 キミが言いだしたことじゃないか。とデコピン付きで言われる 手加減されたから差ほど痛みはなかったが思わず「痛っ!」と言ってしまう 賢とは出会ってまだ1年、されど1年。この1年でお互いの心に触れ、親友になった存在。自分を支えてくれるもう一人のパートナー 改めて親友の存在のデカさを知った大輔は照れくさそうにはにかんだ 「へへ、そーだったな。」 「またその声が聞こえたらすぐに教えてくれ」 「おう!深夜だろうが早朝だろうが即報せるぜ!」 「…常識の範囲内でやれよ」 「わかってるっての。あんがとな賢!」 「ふふ、どういたしまして」 忘れない内にと大輔は光子郎宛てにDターミナルでメールを打ち込み、返信が来るまでサッカーで遊んでいた。 この時聞こえた声がこれから始まる騒動の合図だとは、誰も知ることはなかった…― |