小5の夏休み、8月1日は俺達にとって忘れられない日となった。 だけど、俺だけの忘れられない日がこの年、この月でもう1個出来ていたのを妹ヒカリすら知らない。 日付は8月8日。 そこで同い年の少年と出会った。 たった1日しか会ってないのに、その少年のことを忘れたことが一度もない 「俺、今月で引っ越すんだ。だからもうお前と会えない」 悲しく笑い、別れを惜しんでいたその姿がアグモンたちと別れる俺達にそっくりだった 同じ世界にいるのにもう会えないと思うのはおかしい。だから―― 「絶対また会える!」 胸を張って俺はそいつに伝えた。海外だろうが北海道だろうが、俺達は同じ世界にいるんだ。絶対いつか、どこかで会えるはずだ。 なのにあいつは俺の言葉を否定して首を振った。 「たとえ願っても叶わないことはある」 「なら、約束しよう」 「え…?」 「10年後の今日、8月8日にここでまた会おう」 これならどうだ、してやったりと笑うとアイツも声を出して笑いだした。 涙をこらえながら笑顔で『ありがとう』と呟いた姿が脳裏に焼き付いている ―そして今年は約束の10年後。 俺はいま、アイツと出会った場所にいる。あの頃より高くなった視線は、色んなものが見えた ガサッ 「…太一?」 「よっ!10年ぶり」 「本当に…いた…」 「約束忘れるほどひでぇ男じゃねぇぞ、俺は」 「ははっ、悪い悪い。10年も前だし俺だけ覚えてるとばかり思っててよ」 「ひっでーの。俺が忘れてる前提で来たのかよ」 「だから悪かったって」 俺の隣に来ると、照れくさそうに頬をかく 「ありがとな、来てくれて」 「それはこっちのセリフだって。約束覚えていてくれてありがとう、大」 10年前の俺達へ。 俺たちは10年後に会えるぜZONEの名曲をイメージして。発売日が8月8日だったのでそれに因みました。 |