「大、今度の土曜日どこか出掛けないか?」


 GW期間、僕と大は隊長から有難いことに休暇を頂いた。
 もちろんデジモンが騒動を起こしたら問答無用で招集されるが
 2人ともオフ日というのは中々ない。つまり…2人っきりで過ごせる絶好のチャンスでもある!彼は携帯で日時を確認するとすぐさま答えを口にした


「わり、用事入ってるわ」

「な、ん…だと…?


 馬鹿な!大のスケジュールは把握してるはずなのに、この僕がどこかで聞き逃したというのか!?いや、そんなはずはない!」


「……なんでテメェが俺の予定を把握してんだよ」

「あ」






 =間=






「マスター、心の叫びを口にしては意味がないです」

「声に出してるつもりはなかったが…不覚、だ(ガクッ」

「馬鹿ねぇ」

「でも大がトーマより他を優先するのって珍しいわね」

(ぴくっ)

「追試など学業に関するものなら、大は素直に言うと思います」

「確かに。嘘は言わないからね、大は」

(ぴくくっ)

「ひょっとして誰かと一緒に出かけるのかしら?」

「なんだと!?(ガタッ!!)
 僕に隠れて一体どこの馬の骨とデートをするのだ大!?こうしてはいられない、すぐに家に戻りプランを練らなければ!いくぞ、ガオモン!」

「……イエス、マスター」

「ガオモンの背中から哀愁が漂ってるわね」

「はぁ、最悪なんですけど」



 * * * * *



 そして月日は問題の土曜日になり、僕は大の家からだと死角になる位置で監視をしていた。
 結局大は誰と出掛けるのか、何の用事なのか何一つ教えてくれなかったのだ。だから僕は自分の目で確かめようと決心する


(マスター、世間ではそのような行為をする人をストーカーと言います)

「む、大が家から出て行ったぞ。よし追跡開始だ!」


 いざ大の行動を監視していると、どうやら彼は一人で出掛けることが分かった。
 誰かとデートするという最も恐れていたことがただの杞憂であったのは喜ばしいことだが、それなら何故僕を誘ってくれなかったのだろうかと疑問を抱く


『もしかしたら大はマスターを気遣って断っていたのでは?
 マスターは先日徹夜で仕事をしていましたし、身体を休めと安に伝えていたのかと』

「その線は薄い。大なら断る際に直接言っているだろう」

『では“何故マスターを誘わなかったのか”を論点にするのではなく、“大が一人で行動したがる理由”を考えてはどうでしょう
 今までの大の行動から、何を成そうとしているのか推測してみるのです』


 流石僕のパートナー、逆の発想というものだな
 大が今日出歩いたルートを思い返してみよう

 まずはスーパーに行き、ホットケーキやクッキー、フルーチェなどを眺めていた。
 次はケーキ屋。軽く店員さん(♀)と話をするが、結局買わずに出て行った。
 次は花屋。ここでも店員(♂)が大と話していて、大の手を握って力説していた時は思わず殴り込もうかと…。此処でも買わずに店を後にしていた
 そして今度はアクセサリー店だ。ヨシノさんに聞いてみたら、いま人気の有名チェーン店らしい


 ん?そういえばどれも女性が好みそうなものばかりではないか


『…マスター、とても言いにくいですが、大は女性にプレゼントを贈ろうと一人で見積もっているのではないでしょうか?』

「女性にプレゼント…」


 もしそれが本当なら僕の誘いを断り、且つ目的を告げなかった理由へと繋がる。
 誰にだ?誰へのプレゼントを買おうとしているのだ


『あ、マスター!大が店から出てきました』

「なんだと!? …はッ!」


 店から出て来た大の手には小さな袋が握らされていた。
 つまり、買ったのだ。あの店で、誰かに贈るプレゼントを…!


「大!」

「へ、え!? トーマ!?何でお前がここにいるんだよ!?」

「大、正直に話してくれ。いま君が隠したそれは誰かへのプレゼントなのかい?」

「…お前に関係ねぇだろ」


 足場が崩れたような心情だ。大はやっぱり…僕じゃなく別の誰かのことが…


『兄貴ー、やっぱりトーマにはちゃんと言った方がいいんじゃない?』

「お前は余計な事言うな」

『私からもお願いだ。マスターに本当のことを話してくれないか?
 マスターはずっと悩んでいたのだ。どうして自分には教えてくれないのだろうかって』

「悩むって…トーマ、そうなのか?」

「……あぁ、僕はそこまで君の信頼を得てないのかい?」

「だぁあぁあ〜!なんでお前はすぐそうナーバスになるんだよ!?」


 分かったよ!教えればいいんだろ!教えれば!!


「母さんに贈るプレゼントだよ!」

「え、小百合さん…に?」

「明日は…母の日、だからな」

『兄貴は母の日のことを言えば、トーマが悲しむと思って黙ってたんだよ!』


 母の日―自分を産んでくれた母親に感謝の気持ちを伝える日
 そうか、必然的に死んだ母さんのことを思い出させるから大は…


「けどお前がここまで落ち込んでるトコみると、その判断は間違いだったな…ごめん」

「! あ、謝らないでくれ!こちらこそすまない!僕はてっきりヨシノさんとかに贈るものとばかり…」

「あーそれで自分は捨てられるかもって思ったわけか
 はは、馬鹿だなートーマ。俺がそう簡単に揺らぐと思ったのか?」


 お前一筋だよ。


「…ッ!ま、大!もう一度!もう一度言ってくれ!」

「うるせー!何度も言ってたまるかッ!」


 夕日の明かりだけじゃない赤みが大の頬を染めているのが分かると、曇天だった僕の心が一気に晴天へと変わっていく。
 あぁやはり、彼は僕の太陽だ



心を照らすも曇らすのも彼次第
ガオモンさっきの礼代りに答えろ。トーマは一日中ストーカー行為してただろ?
イエス。
ガオモン!?

トーマサだけど精神面では兄貴族という。そして長くなった^q^ みんさんにふぉーゆー!


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